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平成29年度IBS研究発表会(2017年7月21日)

下記要領にて、平成29年度IBS研究発表会を開催いたしました。
お忙しい中ご参加頂きました皆様方に、厚く御礼申し上げます。 
 
  日時: 2017年7月21日(金) 10:00~12:30
  場所:アルカディア市ヶ谷「富士(西)」

プログラム

  • 挨拶 (黒川洸 代表理事)
  • 「都市における人の動き」
       ~全国PT集計値からみる都市交通の課題と今後~
         研究員 萩原 剛(道路・経済社会研究室)

 全国都市交通特性調査(全国PT調査)は、我が国の平日・休日別の都市交通特性や市民意識について統一的に把握し、都市交通政策の検討に資する基礎的情報把握のため、国土交通省が約5年毎に調査しており、昭和62年の第1回以降、計6回実施されています。最新の平成27年度調査では、外出率・トリップ原単位ともに調査開始以来で過去最低値となり、20代のトリップ原単位が70代を下回るなど「移動しない若年層」の実態も明らかになりました。
 本発表では、これまでの調査結果の集計値を年代別や都市圏規模別に比較・整理したうえで、基礎的な都市交通特性の変化要因に関しての考察が報告されました。

  • 「地方都市圏のこれからの都市交通政策を考える」
       ~群馬県PT調査結果から読み解く日本の将来~
         研究員 稲原 宏(環境・資源研究室)

 群馬県では「ぐんまらしい持続可能なまちづくり」への転換を目指し、人口減少局面に取り組むべきまちづくり方針として、「まちのまとまり」の確保と公共交通や多様な交通手段の確保、広域的な観光ネットワークの構築や災害に強い道路網など4つの方向性を掲げています。都市交通政策の検討においては、平成27年の秋から翌春にかけて実態調査を実施しました。通常は母都市の5%通勤圏域が調査対象ですが、今回の群馬県PT調査は、上記の方向性を踏まえて鉄道沿線の一体的な繋がりをみるべく、県全域および隣接の栃木県足利市に調査圏域を広げて実施されました。
 本発表では、同調査の概要と調査結果、および都市交通の実態と今後の政策の方向性などが紹介されました。

  • 「我が国における駐車場の集約化・配置適正化の状況と今後の課題」
         研究員 松本 浩和(都市交通研究室)

 我が国の駐車場施策は、昭和32年の駐車場法制定以降、道路交通の円滑化を目的として量的整備が着実に進められてきましたが、昨今では量から質への需要転換等、環境が大きく変化しています。
 駐車場は街の交通安全や景観への影響も大きく、道路交通円滑化の目的だけでなく中心市街地活性化の観点から重要な施策となりえます。
 本発表では、附置義務駐車場等の基礎的データ及び駐車場法制に関する近年の動きを概観したうえで、駐車場の集約化・配置適正化について全国の自治体における取組状況を紹介するとともに、これからの駐車場のあり方に関する考察などが提示されました。

  • 「中心市街地を読み解く」
       ~スマート・プランニングの実践に向けて~
         研究員 石井 良治(都市・地域計画研究室)

 中心市街地は高いポテンシャルを持つ場所ですが、自動車中心の交通網や施設配置の一貫性不足などから、来訪者の歩行回遊性に阻害が見受けられる事例があります。そこで、中心市街地のインフラ上での個人の活動実態を把握しての施策検討が求められています。
 本発表では、調査手法が近年確立しつつあるGPS等を活用した個人行動軌跡の把握(プローブパーソン調査)の実施例から、歩行者の活動実態を踏まえた中心市街地内での活動のデザインと、その活動を踏まえた交通施策や施設配置の検討の重要性、ならびに歩行回遊シミュレーション結果を通して関係者間で中心市街地の将来像を共有することの重要性などについて、報告されました。

  • 「高山地域の交通まちづくり」
       ~ビックデータ分析からみえる観光回遊と課題~
         主任研究員 絹田 裕一(社会基盤計画研究室)

 岐阜県高山市の中心市街地は、保全された城下町や商家町が「飛騨の小京都」と呼ばれる世界遺産登録都市であり、年間約450万人の観光客が訪れます。中心市街地部の「古いまちなみ」には多くの観光資源が存在しますが、人の流動・滞留に空間的な偏りがあり、回遊の少ない下町地区への観光客の誘導が課題となっています。
 高山市が実施した社会実験(観光客の市街地部の回遊行動の変化を促し、下町地区の賑わい創出を試みる取組み)をケーススタディとして、「Wi-Fiパケットセンサー」を用いて人の流動や滞留を把握できるビッグデータを収集し、調査の適用性を明らかにしました。
 本発表では、社会実験における人の流れや滞留の変化を可視化し、同センサーを用いた調査の有効性を示すとともに、データ活用上の技術的課題について、考察と報告がありました。