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平成29年度IBSフェローシップ発表会(2017年7月21日)

 下記要領にて、平成29年度フェローシップ発表会を開催いたしました。ご発表頂きました皆様方、ならびにお忙しい中ご参加頂きました皆様方に、厚く御礼申し上げます。
 
  日時:2017年7月21日(金) 13:30~17:35
  場所:アルカディア市ヶ谷「富士(西)」

プログラム

◆最終発表

  • 「環境首都ストックホルムの持続可能な都市の取り組み」
         福田 大輔 氏(東京工業大学 環境・社会理工学院 土木・環境工学系 准教授)

 ストックホルムは、EUグリーンキャピタル制度の初代環境首都選出(2010年)に伴い、2050年に化石燃料使用量ゼロを目指すfossil fuel free cityに取組中です。自転車インフラの整備、自転車道の冬期維持管理、バイクシェアリング、情報提供等の自転車施策に積極的に取り組み、10年間で自転車利用者が8割増加しています。サスティナブルなまちを目指すハンマルビーショースタッド地区は、五輪招致の際の選手村候補地でもあり、自然エネルギーと廃棄物の徹底利用、住民の8割が公共交通・自転車・徒歩での通勤を目指しています。さらに、石油やガスタンク基地を移転させた沿岸地域の都市開発であるロイヤル・シーポートは、化石燃料使用量ゼロを前倒しにより2030年での実現を計画し、エネルギー消費量全体の30%を自給自足する世界一のスマートシティを目指しています。
 本研究では、このようなストックホルムにおける環境都市として具体的な取り組み(計画・プログラム、財源、組織等)について、情報収集と整理を行うとともに、我が国における都市・交通政策への適用可能性と課題を明確にします。
 2017年度フェローシップでは、ストックホルムの概要と化石燃料排出ゼロに向けたロードマップ、およびストックホルムでの具体的な取り組み等が報告されました。

  • 「バンコクの軌道系公共交通機関沿線における土地開発の実態」~限界と可能性~
         福田 敦 氏(日本大学 理工学部交通システム工学科 教授)

 タイにおける軌道系公共交通機関および都市計画に関連する行政機関、事業主体を対象に、軌道系公共交通機関と沿線開発に関連する制度的な枠組みを資料収集・ヒアリング等により調査し、わが国の沿線開発手法と比較することで課題を明らかにします。加えて、エアポートリンクレールおよびパープルライン沿線における住宅地の開発実態と居住者の交通実態を把握し、軌道系公共交通機関と沿線開発を連携した場合に想定される効果について分析します。
 2017年度フェローシップでは、バンコクの軌道系公共交通機関沿線における土地開発課題および沿線開発可能性と今後の方向性や展望について報告されました。

◆中間発表

  • 「米国におけるコンプリート・ストリートに関する取り組みの実態と課題」
         トロンコソ パラディ ジアンカルロス 氏
         (東京大学大学院 工学系研究科都市工学専攻 助教)

 本研究では、米国の国、州、都市、民間団体等のそれぞれにおいて、歩行者や自転車のための道路空間活用が進むこととなった背景や動機等を明らかにするとともに、米国の複数の大都市における道路空間の再編事例に関する情報を収集し、制度体系、予算措置、具体的な空間活用方策、道路ネットワーク計画と個別の空間再編との関係性、空間再編の効果、今後に向けた課題などを明らかにし、今後の我が国における道路空間の再編への示唆をとりまとめます。
 2017年度フェローシップでは、コンプリート・ストリート政策の状況や種類、資金調達やデザインガイドライン等の概要および今後の課題について報告されました。

  • 「フィリピンのマニラ大都市圏における道路・鉄道整備・計画の展開」
         室町 泰徳 氏(東京工業大学 環境・社会理工学院 土木・環境工学系 准教授)

 フィリピンのマニラ大都市圏では、人口や経済の成長に伴う宅地開発が旺盛で、インフラ整備が行われてきましたが、交通のインフラ整備不足の課題解決は難しい状況でした。2013年には、マニラ首都圏のインフラ整備と交通計画をセクター横断的な視点で整理し、2030年の交通ネットワーク「ドリームプラン」が策定されました。
 本研究では、これらの計画内容及び現在の取り組み状況を調査・整理するとともに、これらが一体的整備か別々に行われているのかを調査し、一体的整備ならばどのような制度を活用しているのか、道路・鉄道のケースそれぞれについて検証します。
 2017年度フェローシップでは、ドリームプランの概要やマニラ大都市圏の現状、およびドリームプラン関係者インタビューの結果等が報告されました。

◆初年度発表

  • 「ヨーロッパにおける大型貨物車を利用した貨物輸送に関する取組の実態と課題」
         渡部 大輔(東京海洋大学 学術研究院 流通情報工学部門 准教授)

 近年、欧州では、大型貨物車を利用した貨物輸送の省人化・効率化に向けた取組が行われています。例えばドイツでは、ダブル連結トラックの社会実験が行われており、本格実施に向けた検討が進められています。また、トラックの隊列走行に関しても、オランダ主導でプロジェクトが実施されるなど、大規模な公道実証実験が実施・予定されています。こうしたなか、我が国においても、トラック輸送の省人化等を目的にして、ダブル連結トラックによる特車通行許可基準(車両長)を緩和する社会実験が国土交通省で行われているところです。
 本研究では、我が国におけるダブル連結トラックや隊列走行等の導入を念頭において、欧州における先行事例について現在の検討状況、本格実施に向けた課題、その課題をクリアするための工夫、これらの大型貨物車の利用が想定される顧客や社会経済効果の見込みを調査します。更には、トラックの車両技術や大型貨物車に対応したインフラ整備の動向等を調査して、今後の我が国における物流施策に対する示唆をとりまとめます。
 2017年度フェローシップでは、研究背景、欧米の先行事例紹介、および研究計画等が報告されました。

  • 「ラドバーンの現在と設計思想が米国に与えた影響」
         神山 藍(東洋大学 理工学部 都市環境デザイン学科 講師)

 1929年に米国・ニュージャージー州に開発されたラドバーン(Radburn)は、歩車分離を初めて試みた近隣住区のお手本であり、クラレンス・スタインとヘンリー・ライトによって設計されました。ラドバーンはニュージャージー州バーゲン郡フェアローンに位置し、60万m2に人口3,000人、世帯数700世帯弱が暮らし、約90年経過した今も現存し、人気のエリアとなっています。小学校をコミュニティの中心として位置づけ、歩道ネットワークをコミュニティ内に縦横に張り巡らせ、アメニティの高いオープンスペースを多く設け、豊かな生活を実現させるコミュニティとして多くのアイデアと知恵が、この住宅地には盛り込まれています。
 本研究では、今も息づくラドバーンの設計思想が米国社会に与えた影響を考察し、これら長年に渡っての人気の要因を探るとともに、我が国における暮らしの道再生へのヒントを整理し、自動車依存の首都圏郊外部の近隣住区再生への示唆をとりまとめます。
 2017年度フェローシップでは、研究方針と内容について報告されました。


  ※ 都市計画CPDプログラム認定
    土木学会継続教育(CPD)プログラム認定