IBS計量計画研究所

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平成28年度IBSフェローシップ発表会

概要

日 時 平成28年7月14日(木)13:30~17:35
会 場 スクワール麹町「全芙蓉」

プログラム

最終発表

英国におけるアクティブトラフィックマネジメント

発表者塩見 康博 氏(立命館大学理工学部環境システム工学科 准教授)

塩見 康博

 バーミンガムを中心にM5,M6,M42の各路線で形成される環状高速道路ネットワーク、いわゆる「バーミンガム・ボックス」では路肩運用や可変制限速度を交通状況に応じて動的に実施するアクティブ・トラフィックマネジメント(以下ATM)が実施され、順次その対象エリアが拡大されつつあります。
 本研究では、ATMメニューが導入された経緯、その理論的背景、導入効果の検証結果などを整理するとともに、短期および中・長期的な観点で、我が国にATMを導入する場合のメニューの組み合わせやその効果的な運用方法、期待される効果について明らかにします。
 2016年度フェローシップでは、最終報告として、M42におけるATMパイロットプロジェクト、プロジェクト実現までの経緯、英国内での近年の動向および研究成果のまとめと日本への示唆が発表されました。

2012ロンドン・オリンピック、パラリンピック大会の競技場、選手村(等)の跡地活用のあり方

発表者村木 美貴 氏(千葉大学大学院工学研究科 教授)

村木 美貴

 ロンドン・オリンピック跡地計画の計画策定段階と実現段階について、計画策定の方法、そこでの連携方法を資料調査と現地調査から明らかにします。オリンピック開催前の跡地利用計画と現行計画との間の変更点とその理由を中心に、①民間投資の誘因方法、②地域の質的向上のあり方、③インフラ整備計画とオリンピック後の活用方法、④事業実現化における計画許可のあり方を、LLDC(London Legacy Development Corporation)と地元行政との関係から考察し、これらを踏まえて、2020東京オリンピック・パラリンピックに向けた課題を提示します。
 2016年度フェローシップでは、ロンドン・オリンピックの背景と枠組み、レガシー計画の方向性・詳細とその実際、オリンピックが広域地域に与えた影響、および東京五輪に向けて、について報告されました。

中間発表

環境首都ストックホルムの持続可能な都市の取り組み

発表者福田 大輔 氏(東京工業大学 環境・社会理工学院 土木・環境工学系 准教授)

福田 大輔

 ストックホルムは、EUグリーンキャピタル制度の初代環境首都選出(2010年)に伴い、2050年に化石燃料使用量ゼロを目指すfossil fuel free cityに取組中です。自転車インフラの整備、自転車道の冬期維持管理、バイクシェアリング、情報提供等の自転車施策に積極的に取り組み、10年間で自転車利用者が8割増加しています。サステイナブルなまちを目指しているハンマルビーショースタッド地区は、五輪招致の際の選手村候補地でもあり、自然エネルギーと廃棄物の徹底利用、住民の8割が公共交通・自転車・徒歩での通勤を目指しています。さらに、石油やガスタンク基地を移転させた沿岸地域の都市開発であるロイヤル・シーポートは、化石燃料使用量ゼロを前倒しにより2030年での実現を計画し、エネルギー消費量全体の30%を自給自足する世界一のスマートシティを目指しています。
 本研究では、このようなストックホルムにおける環境都市として具体的な取り組み(計画・プログラム、財源、組織等)について、情報収集と整理を行うとともに、我が国における都市・交通政策への適用可能性と課題を明確にします。
 2016年度フェローシップでは、ストックホルムでの自転車・バス・住宅施策および一次エネルギー生産関連の現地調査と市担当者へのヒアリング結果と、コペンハーゲンのノーハウン(Nordhavn)地区での現地調査と市担当者へのヒアリング結果、および今後の取組み等が報告されました。

バンコクの軌道系公共交通機関沿線における土地開発の実態

発表者福田 敦 氏(日本大学理工学部 交通システム工学科 教授)

福田 敦

 タイにおける軌道系公共交通機関および都市計画に関連する行政機関、事業主体を対象に、軌道系公共交通機関と沿線開発に関連する制度的な枠組みを資料収集・ヒアリング等により調査し、わが国の沿線開発手法と比較することで課題を明らかにします。加えて、エアポートリンクレールおよびパープルライン沿線における住宅地の開発実態と居住者の交通実態を把握し、軌道系公共交通機関と沿線開発を連携した場合に想定される効果について分析します。
 2016年度フェローシップでは、バンコクでの資料収集およびヒアリングの結果と、わが国における沿線開発の手法との比較整理と、それを通してのバンコクでの課題について報告されました。

初年度発表

米国におけるコンプリート・ストリートに関する取り組みの実態と課題

発表者トロンコソ パラディ ジアンカルロス 氏(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 助教)

トロンコソ パラディ ジアンカルロス

 本研究では、米国の国、州、都市、民間団体等のそれぞれにおいて、歩行者や自転車のための道路空間活用が進むこととなった背景や動機等を明らかにするとともに、米国の複数の大都市における道路空間の再編事例に関する情報を収集し、制度体系、予算措置、具体的な空間活用方策、道路ネットワーク計画と個別の空間再編との関係性、空間再編の効果、今後に向けた課題などを明らかにし、今後の我が国における道路空間の再編への示唆をとりまとめます。
 2016年度フェローシップでは、研究背景と目的、研究方法およびスケジュール等が報告されました。

フィリピンのマニラ大都市圏における道路・鉄道整備・計画の展開

発表者室町 泰徳 氏(東京工業大学 環境・社会理工学院 土木・環境工学系 准教授)

室町 泰徳

 フィリピンのマニラ大都市圏では、人口、経済成長に伴う宅地開発も旺盛でインフラ整備が行われてきましたが、交通のインフラ整備不足の課題解決は難しい状況でした。2013年には、マニラ首都圏のインフラ整備と交通計画をセクター横断的な視点で整理し、2030年の交通ネットワーク「ドリームプラン」が策定されました。
 本研究では、これらの計画内容及び現在の取り組み状況を調査・整理するとともに、これらが一体的整備なのか、別々に行われているのかを調査し、一体的整備ならばどのような制度を活用しているのか、道路・鉄道のケースそれぞれについて検証します。
 2016年度フェローシップでは、研究計画、メトロマニラ・ドリームプランの概要、および今後の作業が報告されました。

※ 都市計画CPDプログラム認定
  土木学会継続教育(CPD)プログラム認定

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