IBS計量計画研究所

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2020年IBSフェローシップ発表会

概要

 2020年 IBSフェローシップ発表会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のため日程を変更し、来場者数の削減や会場内の感染対策とあわせて、リアルタイムでの画像配信を併行して開催いたしました。
 ご発表頂きました皆様方、ならびにお忙しい中会場ならびに配信にてご参加頂きました皆様方に、厚く御礼申し上げます。

日 時 2020年9月30日(水) 13:30~17:30
会 場 アルカディア市ヶ谷「富士(西)」

プログラム

最終発表

メデジン市における都市開発の発展経緯に関する考察

発表者志摩 憲寿(東洋大学国際学部 国際地域学科 准教授)

 メデジン市は、コロンビアの中央に位置する同国第2の大都市であり、また麻薬犯罪の巣窟として長年その名を馳せていましたが、1990年代初頭以降に都市再興に取組み、急成長した都市です。2013年にはVeronica Rudge Green Awardにおいて、世界で最も優れた都市デザインの都市として選出されました。都市交通についても、統合的公共交通システムや自転車シェアリング、LRTの建設等、先進的な取組みが実施されています。
 本研究では、当初、麻薬とマフィアによる治安悪化の状態から、どのような都市計画・都市開発を実行して現在の優れた都市に発展してきたか、我が国でのこれまでの研究成果を踏まえつつ調査し、我が国における都市開発・都市再生への示唆をとりまとめることを目的としています。
 2020年IBSフェローシップ発表会では、空間的・歴史的な視点からのメデジン市と、市の都市開発の発展を整理し、またいわゆるインフォーマルな市街地への政策アプローチや、斜面の多い同市の地形的条件での交通整備等について発表がありました。

マドリード市におけるM-30の地下化とそれに伴う都市空間整備に関する考察

発表者小松崎 俊作(東京大学大学院 工学系研究科 准教授)

 このテーマでは、スペイン・マドリード市のM30ハイウェイの地下化プロジェクトに至った経緯に加え、開放された上部空間の計画、その事業内容、実施プロセスを調査するとともに、現在におけるそのプロジェクトの効果・影響を把握し、今後の我が国における高速道路の地下化とそれに伴う都市空間整備に関する示唆をとりまとめることを目的としています。
 2020年IBSフェローシップ発表会では、当該事業の教訓として政治的リーダーシップの存在やPPPによる資金調達のあり方、および都市空間の整備における社会的影響面での評価と意義について報告がありました。

中間発表

米国におけるStreet Design Guideの影響と効果

発表者三浦 詩乃(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 特任助教)

 米国の68の主要都市と11の公共交通機関から構成されるNACTO(National Association of City Transportation Officials)は、将来の都市が備えるべきモビリティのビジョンを示し、道路の機能分類に応じた新たな視点からの街路構造デザインとして「Urban Street Design Guide」、「Global Street Design Guide」等の複数のガイドラインを出版しています。
 本研究では、これらガイドラインの適用状況や影響、効果などを具体的な事例に基づいて調査を行い、我が国での街路空間への適用に向けた知見をとりまとめます。
 2020年IBSフェローシップ発表会では、組織としてのNACTOのあり方およびそのガイドラインの役割・効果や影響に関した詳報、およびCOVID-19影響下での研究の進め方について発表がありました。

ハンブルグの都市開発『ハーフェンシティ』における駐車場整備の考え方とその評価

発表者姥浦 道生(東北大学大学院 工学研究科 都市・建築学専攻 教授)

※姥浦先生は都合によりオンラインにて発表して頂きました。

 ドイツ・ハンブルグ市の欧州最大の都市開発プロジェクト「ハーフェンシティ」は、環境、エネルギーに配慮した持続可能な都心としての新たな概念に基づく土地利用、交通に加え、歴史・文化とのつながりを維持することを重視した水辺開発であり、開発に際し、市民はじめ関係者に対するコミュニケーションを重要な柱と捉えています。
 本研究では、駐車場整備の実態とその考え方を整理するとともに、道路及び駐車スペースを減少させて公共空間を拡大させ、徒歩と自転車利用、公共交通とのアクセス向上を図るという考え方とそれに対する市民、事業者、行政からの評価を明らかにし、我が国における今後の駐車場整備における知見をとりまとめます。
 2020年IBSフェローシップ発表会では、市内の都市開発と都市内移動性から駐車場に関する今後の考察や自動車移動からシフトする背景と合意形成についての報告があり、また駐車場整備およびその料金体系の考え方と利用実態について発表されました。

初年度発表

EUシェアードスペースプロジェクトの事後評価とその後の展開

発表者西村 亮彦(国士舘大学 理工学部 まちづくり学系 講師)

 2004~2008年に行われたEUのシェアードスペースプロジェクトにおいて実施されたモデル地区を対象に、その特徴と安全性向上や経済的効果等、多角的な視点から事後評価を実施します。また、プレイスメイキングやエリアマネジメント、Link&Place、パークレットの設置、路面電車の復活や自転車の活用、自動運転やスローモビリティの導入等、EUのシェアードスペースプロジェクト実施後、新たに道路空間活用がどのように考えられ、またどのように展開しているか調査・整理します。さらに、わが国において、シェアードスペースの導入を検討する際の期待や留意点についての知見をとりまとめます。
 2020年IBSフェローシップ発表会では、シェアードスペースについてその機能や計画・事業を進める上での留意点に関する発表に加え、今後の研究の手法・スケジュール等について報告がありました。

ボストンBig Digの事後評価

発表者日比野 直彦(政策研究大学院大学 准教授)

 既存の都市内高速道路の地下化事業として実施された、米国・ボストンの大規模事業「Big Dig」の完成から10年以上を経ました。Big Dig事業では、その建設技術だけでなく、建設工事中のミティゲーション、高速道路跡地利用、ウォータフロント等の周辺地区再開発と住宅開発等、様々な事業が実施されました。一方で、工期の延期や事業費の増大、完成後の天井板落下事故等の課題も大きく取り上げられました。
 本テーマでは、Big Dig事業でボストンの都市、交通、経済等がどう変化したかの事後評価を行います。また、Big Dig事業の歴史的経緯を踏まえ、わが国における地下道路整備に関する知見をとりまとめます。
 2020年IBSフェローシップ発表会では、Big Dig事業に関した交通政策および公共交通、街路空間設計等の交通政策への考察、および今後の研究計画について発表がありました。

※ 都市計画CPDプログラム認定
  土木学会継続教育(CPD)プログラム認定

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