IBS計量計画研究所

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2021年IBSフェローシップ発表会

概要

 2021年 IBSフェローシップ発表会は、昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のため、来場者数の削減や会場内の感染対策とあわせて、リアルタイムでの配信を併行して開催いたしました。
 ご発表頂きました皆様方、ならびにお忙しい中会場および配信にてご参加頂きました皆様方に、厚く御礼申し上げます。

日 時 2021年7月7日(水) 13:00~16:30
会 場 コモレ四谷タワーコンファレンス「Room D+E」

プログラム

最終発表

米国におけるStreet Design Guideの影響と効果

発表者三浦 詩乃(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 特任助教)

 米国の68の主要都市と11の公共交通機関から構成されるNACTO(National Association of City Transportation Officials)は、将来の都市が備えるべきモビリティのビジョンを示し、道路の機能分類に応じた新たな視点からの街路構造デザインとして「Urban Street Design Guide」、「Global Street Design Guide」等の複数のガイドラインを出版しています。
 本研究では、これらガイドラインの適用状況や影響、効果などを具体的な事例に基づいて調査を行い、我が国での街路空間への適用に向けた知見をとりまとめます。
 2021年IBSフェローシップ発表会では、最終発表として、NACTOと他の既存組織との比較およびNACTOガイド活動状況に加えて、道路空間再配分とデザインに関した指摘・報告がありました。

ハンブルグの都市開発『ハーフェンシティ』における駐車場整備の考え方とその評価

発表者姥浦 道生(東北大学大学院 工学研究科 都市・建築学専攻 教授)

 ドイツ・ハンブルグ市の欧州最大の都市開発プロジェクト「ハーフェンシティ」は、環境、エネルギーに配慮した持続可能な都心としての新たな概念に基づく土地利用、交通に加え、歴史・文化とのつながりを維持することを重視した水辺開発であり、開発に際し、市民はじめ関係者に対するコミュニケーションを重要な柱と捉えています。
 本研究では、駐車場整備の実態とその考え方を整理するとともに、道路及び駐車スペースを減少させて公共空間を拡大させ、徒歩と自転車利用、公共交通とのアクセス向上を図るという考え方とそれに対する市民、事業者、行政からの評価を明らかにし、我が国における今後の駐車場整備における知見をとりまとめます。
 2021年IBSフェローシップ発表会では、最終発表として、プロジェクト全体像ならびに当該地区のモビリティの状況に加えて、持続可能なまちづくりのコンセプトや駐車場の考え方など、我が国への示唆を含む報告がありました。

中間発表

EUシェアードスペースプロジェクトの事後評価とその後の展開

発表者西村 亮彦(国士舘大学 理工学部 まちづくり学系 講師)

 2004~2008年に行われたEUのシェアードスペースプロジェクトにおいて実施されたモデル地区を対象に、その特徴と安全性向上や経済的効果等、多角的な視点から事後評価を実施します。また、プレイスメイキングやエリアマネジメント、Link&Place、パークレットの設置、路面電車の復活や自転車の活用、自動運転やスローモビリティの導入等、EUのシェアードスペースプロジェクト実施後、新たに道路空間活用がどのように考えられ、またどのように展開しているか調査・整理します。さらに、わが国において、シェアードスペースの導入を検討する際の期待や留意点についての知見をとりまとめます。
 2021年IBSフェローシップ発表会では、シェアードスペース実施の事後評価と、EU各国における多数のシェアードスペース整備後の動向について報告がありました。

ボストンBig Digの事後評価

発表者日比野 直彦(政策研究大学院大学 教授)

 既存の都市内高速道路の地下化事業として実施された、米国・ボストンの大規模事業「Big Dig」の完成から10年以上を経ました。Big Dig事業では、その建設技術だけでなく、建設工事中のミティゲーション、高速道路跡地利用、ウォータフロント等の周辺地区再開発と住宅開発等、様々な事業が実施されました。一方で、工期の延期や事業費の増大、完成後の天井板落下事故等の課題も大きく取り上げられました。
 本テーマでは、Big Dig事業でボストンの都市、交通、経済等がどう変化したかの事後評価を行います。また、Big Dig事業の歴史的経緯を踏まえ、わが国における地下道路整備に関する知見をとりまとめます。
 2021年IBSフェローシップ発表会では、Big Dig事業の概要および事後評価に関する報告のほか、今後の計画としてボストン以外の都市における類似事業の調査方針についての発表がありました。

初年度発表

COVID-19の影響による交通事業者支援施策のレビューおよび効果

発表者柴山 多佳児(ウィーン工科大学交通研究所 研究員)

※柴山先生はウィーンからオンラインにて発表頂きました。

 COVID-19影響下の各国における、公共交通機関の利用状況・運営状況の情報収集、課題整理を行うとともに、政府による対応施策のレビュー、施策実施の背景およびその効果分析を行います。分析に際しては、我が国の状況とも比較し、公共交通の利用状況や、公共交通機関の運営形態・支援体制の違い等も踏まえ、ニューノーマルに対応した我が国における今後の公共交通施策のみならず、公共交通運営事業に対する支援のあり方を含めた示唆を得ることを目的とします。
 2021年IBSフェローシップ発表会では、研究遂行にあたっての今後の方針や研究フレーム、および研究戦略等について発表されました。

都市のデジタルツインにおける人流シミュレーションの展望と課題

発表者原口 正彦(人間文化研究機構・総合地球環境学研究所(日本学術振興会 特別研究員))

 海外における人流に関するビッグデータの取得とシミュレーションが、実際にどのような都市でどのように活用されているかを整理するとともに、ビジネスモデル、プライバシーへの懸念などの課題への対応などについて調査・整理を行います。また、これらをもとに、わが国における同様の取り組みへの示唆、産官学の連携等への知見や課題を整理することを目的とします。
 2021年IBSフェローシップ発表会では、初回発表として、研究目標の整理や研究計画の発表や、テーマと関連した研究プロジェクトの紹介がありました。

※ 都市計画CPDプログラム認定
  土木学会継続教育(CPD)プログラム認定

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