IBS計量計画研究所

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第11回 モビリティ・マネジメント(MM)技術講習会

概要

日 時 2018年7月5日(木)・6日(金)
場 所 TKP市ヶ谷カンファレンスセンター バンケットホール9C(講習会)・ バンケットルーム9B(意見交換会)(〒162-0844東京都新宿区市谷八幡町8番地)
主 催 一般財団法人 計量計画研究所
後 援 公益社団法人土木学会、一般社団法人日本モビリティ・マネジメント会議
協 力 国土交通省
  • MM技術講習会の様子 MM技術講習会の様子

プログラム

1日目

モビリティ・マネジメント概論

講 師谷口 綾子 准教授(筑波大学)

谷口 綾子

「一人一人のモビリティ(移動)が社会にも個人にも望ましい方向へ自発的に変化することを促す、コミュニケーションを中心とした交通施策」というMMの定義や、旅客輸送分担率の推移や移動手段別のCO2排出量などの基礎知識についてご説明いただきました。渋滞、健康、交通事故リスク、クルマの維持費、地域経済、幼少期の家庭内・地域内コミュニケーションなどの様々な観点から、ご自身の研究を踏まえて公共交通利用のメリットをお話しいただきました。あわせて、MMを進めるためには、ターゲットを固めたうえでの情報発信やイメージ戦略が重要であることを、具体的事例とともにご紹介いただきました。

MMの実施に関わる基礎技術①大規模なMMのノウハウ

講 師萩原 剛(計量計画研究所)

福岡市で実施した大規模MMを事例に、大規模MMのノウハウを解説いたしました。個別的なアプローチで主旨を理解してもらい、行動変容に結び付けることが有効であることを紹介したほか、具体的なMMグッズ(個人ごとの時刻表、バスマップ、体験乗車チケット等)についても説明いたしました。

MMの実施に関わる基礎技術②MM関連グッズの意義と活用のポイント

講 師北村 清州(計量計画研究所)

コミュニケーションツールであるMM関連グッズについて、参加者の意識・行動の変容を促すためのプロセスや、動機付け・情報提供などグッズ作成におけるポイントを示しながら紹介いたしました。

MMの実施に関わる基礎技術③MM実施の効果計測のポイント

講 師矢部 努(計量計画研究所)

MMの施策効果や効果計測指標について、近年注目されている「EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)」との説明いたしました。MMの効果の示し方について、実施した施策群(with)と実施しなかった制御群(without)の結果の違いを比較する方法に加え、季節変動や地域特色による影響の補正方法、施策目標ごとの目安となる指標等について説明いたしました。

行政主体によるMM事例紹介①宇陀市における地域公共交通活性化の取組

講 師東條 有紀 様(宇陀市)

東條 有紀

宇陀市の学校MMの取組として小学生向けのバス教室についてご講演いただきました。MM実施にむけたスキームやその効果について、実際の写真や小学生へのアンケート結果とともに、ご紹介いただきました。また、バス路線の収益改善の一環として実施している貨客混載の導入に向けた社会実験の概要や実験の実施に伴うバス利用者への意識調査結果についてもご説明いただきました。

行政主体によるMM事例紹介②札幌市における学校教育MMの取組

講 師佐藤 格郎 様(札幌市

佐藤 格郎

札幌市内で実践されている、「小学校における札幌らしい交通環境学習プロジェクト」についてご紹介いただきました。交通環境学習プログラムの開発にあたっては、小学校教諭が主体で実施すること、市内の小学校全体に展開すること、誰でも実践できるようにすることの3点を目的としていることをご紹介いただきました。また、学習指導要領に沿った副読本や教師向けの指導書の配布など、授業づくりをしやすくするための材料の提供が行われていることを、実際の授業例とともにご講演いただきました。

行政主体によるMM事例紹介③京都市交通局(市バス)における地域主体のMMの取組

講 師依田 智明 様(京都市)

依田 智明

京都市バスにおいて、住民と行政が連携して取組を行った、右京区南太秦学区の例を中心にご紹介いただきました。南太秦学区では、ワークショップ開催やお試し乗車などの継続的な取組により、利用者が増加し、増便などの利便性向上とともに収支の黒字化が実現したことをご説明いただきました。加えて、この成功を受けて、市内の各地域に取組が広がり、増便や新規路線開設などの利便性向上がなされ、利用者増加と利便性向上の好循環の実現が目指されていることをご紹介いただきました。

実務におけるMMの推進に向けて

講 師藤井 聡 教授(京都大学)

藤井 聡

MMを実施する上で必要なことを、国内の事例やご自身の経験を交えてご説明いただきました。民間企業と自治体の在り方の違いや、これからの自治体職員に求められるMM推進に対する姿勢、組織や人の「マネジメント」方法論をご説明いただき、MM推進を継続的に行う重要性を説かれました。

2日目

MMに係るワークショップ

講 師松村 暢彦 教授(愛媛大学)・計量計画研究所

ワークショップの様子

ワークショップの前半は、フードマイレージについて理解するための教材を参加者に体験していただきました。フードマイレージは「食品の生産地から消費地までの距離」×「食品の重さ」で算出される指標であり、フードマイレージに交通輸送手段別のCO排出係数を掛け合わせると、輸送の際に排出されたCO2の試算ができます。フードマイレージの教材を用いたワークショップでは、異なる時代・地域の住民になりきり、夕食の献立の買い出しに行くような、生活の中の身近な行動を通して、食べ物と環境問題(CO2の排出)に関して、自ら考えるきっかけを作ることをねらいとしています。本ワークショップを通じて、教材のねらいと授業の内容を児童に楽しんでもらいながら分かりやすく伝えるための工夫を松村教授にご説明いただきました。
後半は、受講者の皆様にMMを実施する際の「課題」や「お困りの点」を挙げていただき、松村教授や弊所研究員がアドバイスいたしました。

後半の詳細はこちらをご覧ください

学校教育MMに関わる基礎技術

講 師松村 暢彦 教授(愛媛大学)

松村 暢彦

小学校の社会科学習は、小中高を通して地域の交通を学ぶ数少ない機会であることや、公共交通やクルマの題材を取り入れた授業計画の例を学年毎にご紹介いただきました。また、教育の当事者でない自治体の行政担当者が学校教育MMの実施を進めるうえでの留意点として、あくまで教育を目的とし、学校教育MMは手段であることをご説明いただきました。

民間・地域・行政が連携したMM事例紹介

講 師田中 大一郎 様(西日本鉄道株式会社)

田中 大一郎

公共交通の需要創造に向けた効果的な取組について、その具体的事例とともにご説明いただきました。着実に需要を創造して公共交通を維持すること、そのためには交通事業者・地域・行政が連携して、利用者目線で多様な施策に積極的に取組むことが重要であるとご説明いただきました。

MM実施に関わる制度

講 師三浦 良平 様(国土交通省)

三浦 良平

MM実施に関わる制度と題して、国土交通省の三浦室長にご講演いただきました。地域公共交通活性化・再生分野における現状・制度・政策について全体的にご説明いただいたほか、MM実施にあたって活用できる補助制度やキャンペーン、分析ツールについてご紹介いただきました。

※ 都市計画CPDプログラム認定
  土木学会継続教育(CPD)プログラム認定

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