IBS計量計画研究所

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都市地域・環境部門

都市地域・環境部門では、人口減少や少子高齢時代においても、活力に溢れ、生活を営みやすく、環境にやさしい、防災性にも優れた持続可能な地域づくりに貢献するプランニングに資する調査研究に取り組んでいます。最新の計画理論、高度な計量的分析手法、プロセスデザイン技術を融合し、各分野の専門家や研究機関と連携を図りながら、広域都市圏からコミュニティまでの多様な空間スケールにおける政策及び計画立案を支援しています。都市及び地域レベルの計画づくりに先進的な計画技術の導入を図りつつ、その成果を国レベルの政策立案に役立てながら、全国への普及促進に取り組んで参ります。

主な研究活動

1-1 政策及び計画立案の支援

(1) 持続可能な都市構造の形成

【低炭素まちづくり計画のイメージ】

 限られた財政状況の下で、持続可能な地域の実現に向け、土地利用と交通体系のバランスがますます重要になってきています。国においても、『コンパクトシティ・プラス・ネットワーク』のかけ声で、都市づくりと交通の連携の重要性が強調されるようになってきています。本部門では、IBSが有する交通解析技術を最大限活かすとともに、都市構造や土地利用と連携が図られた立地適正化計画や低炭素まちづくり計画等をはじめとした計画の策定を支援しています。また、都市の目標や目指す将来像から個別の事業までが一貫して展開可能な計画枠組みづくり、持続可能な地域を目指した都市、地域、地区のマスタープランづくり、公共交通の活用や街なかの再生による歩いて暮らせるまちづくりを実現するための戦略的な展開や仕組みづくり等について、具体の都市を対象に調査、提案を行っています。

(2) 大都市圏や生活圏のあり方

 少子高齢社会の進展、情報通信技術の急激な発達、価値観の多様化等を背景に、都市や地域における人々の暮らし、活動に対するニーズには様々な変化が見られます。このため、パーソントリップ調査等に代表される人の行動に関するデータを活用した人々の多様な活動や暮らしに対するニーズ分析、広域地方ブロック、大都市圏、生活圏における社会経済動向の見通しと交通条件等との関係性分析、郊外住宅地における空き地・空き家に関する分析などをもとに、これからの持続可能な都市・地域づくりのあり方に関する調査・研究を行っています。

(3) 市民の活動や移動に着目した都市計画

【まちづくりの方針図】
出典)多摩ニュータウン地域再生ガイドライン

 都市計画基礎調査をはじめとする都市計画を検討するための基礎的なデータは電子化が進み、計画検討の様々な場面で活用されています。計画検討においては、土地利用や道路整備の状況や災害ハザード等、都市の物理的な状況を示すデータは数多く用いられてきていますが、市民等の活動や生活の実態を根拠とした計画立案はまだまだ十分に進められているとは言い難い状況です。本部門では、当研究所が長年関わってきた、人の移動を把握するパーソントリップ調査や、様々な種類の交通関連ビッグデータを活用した新たな時代の都市計画の検討を今後も支援していきます。

(4) 公民連携による拠点まちづくり

【道路空間オープン化社会実験のイメージ】

 従来の都市計画はインフラ整備に代表されるように、長期間かけて行政が主体的に進める、いわゆる公共計画としての側面が強かったのですが、最近ではパブリック・スペースの活用を中心に、短期的な取り組みを積み重ねて市民等の関心を高めながらまちづくりを進める計画手法に注目が集まっています。これからの都市計画には、長期的に安定して取り組むべき部分と短期的な取り組みの積み重ねを、バランスを取りながら進めることがより一層求められると考えられます。
 本部門では、当研究所が有する計画プロセスの設計技術、インフラ計画における市民参画のノウハウ、都心まちづくりビジョンの立案、都心まちづくり社会実験などの実践経験を融合し、民間と公共とが連携した拠点まちづくり手法に関する調査を提案しています。

(5) 総合的な交通計画

【階層的な公共交通体系とまちのまとまりのイメージ】
出典)群馬県交通まちづくり戦略【概要版】

 高齢化の進展や人口減少などにより、今後、移動する人の量や属性が変化することが予想されます。また、環境問題や健康への意識の高まりに伴い、移動に対するニーズも変化してきています。
 このため、都市交通に関する複合的な課題を解決し、望ましい将来像を実現するために交通施策をどのように横断的に展開すべきかについて、望ましい目標像を達成するための諸々の施策やパッケージ的な展開方策に関する技術の調査・研究に取り組んでいます。

(6) 生活を支える交通手段提供方策に関する研究

【新交通の導入イメージ】
出典)日立電鉄跡地新交通導入事業

 モータリゼーションの進展により、地方部だけでなく三大都市圏においても路線バスの利用者減少が続き、路線の撤退をはじめとしたサービスレベルの低下が進んでいます。一方で今後の高齢者の増加を考えると、自動車に依存しない交通体系の構築が求められています。また、道路渋滞や駐車場入庫待ちの行列など、局所的な問題が発生しています。
 このため、都市交通マスタープランや都市・地域総合交通戦略などの総合交通計画と整合する形での公共交通網形成計画の策定、LRTやBRTの導入検討、コミュニティバス導入や自転車の利用促進、快適な歩行空間の創出、駐車場の整備、超小型モビリティの導入等の個別計画策定に取り組んでいます。

(7) 先進モビリティの導入検討

 近年、超小型モビリティ、自動運転車両、ART等の先進モビリティやカーシェアリング、MaaS、SAV等の交通サービスの導入検討が行われています。こうした新しい交通サービスを導入することで、高齢化などの交通弱者の移動支援、過疎地域における公共交通サービスの提供、人口減少による労働力不足への対応などの各種課題の解決が期待されています。
 これらに対応し、新たなモビリティの利用者ニーズや需要の把握、導入方法検討の支援、導入による社会的な影響や効果の検討などの調査・研究に取り組んでいます。


【カーフリーデーにおける超小型モビリティの
展示会の様子】

【岡山市における超小型モビリティカーシェア
実証実験(オカモビ)のステーションの様子】

(8) 地域に根ざした計画づくり

【政策評価ツールによる都市構造評価例】

 東北事務所は、当研究所唯一の地方の事務所として地域密着型の調査研究を行っています。
 宮城県・仙台市・山形市をはじめ、東北地方の土地利用、交通、地域振興、観光、環境などの各分野における調査・分析、政策・計画立案等を手掛けるとともに、地域の大学、経済界、NPO等と連携し、東日本大震災を踏まえつつ、地域社会の創造に貢献する計画立案及び技術開発に取り組んでいます。
 人口減少が進む地方では、地域の個性・資源に応じてその強みを活かした取組が、強く求められます。東北地方には個性豊かな地域が数多く、それに伴い地域が抱える課題と対応策も多様であり、地域に根差した調査研究活動が欠かせません。世界遺産等の世界をターゲットにした観光需要対策、若者定着に向けた地方鉄道の需要喚起策、急速に高齢化が進む郊外住宅地対策等、東北地方の取組から得られた成果を、全国に向けて発信していきます。

1-2 計画技術の開発

(1) 総合的な都市交通調査と関連技術

 当研究所では、50年以上にわたり都市圏の総合的な交通計画の立案を支えるパーソントリップ調査とそのデータを用いた交通需要推計等の高度な解析技術に関して調査研究を進めてきました。
 近年では、都市交通分野の課題が以前にもまして多様化してきていることや、民間による交通サービス分野への参入が増えつつあることから、GPSデータをはじめとする位置情報データやプローブパーソン調査などを活用し、多様なニーズに対応した交通調査手法および解析手法の開発に取り組んでいます。
 また、各種交通施策を評価するための交通行動モデルの開発にも力を注いでいます。従来型の四段階推定法に変わって個人の交通行動を表現するアクティビティモデルの開発や、国土交通省が推進するスマート・プランニングを支える基礎技術となる歩行回遊シミュレーションの開発を行っています。

(2) 次世代都市交通システムのシミュレーション

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、次世代都市交通システム「ART(Advanced Rapid Transit)」の開発が進められています。ARTでは、加速度最適制御技術、公共車両優先システム(PTPS)、正着制御技術などの自動走行技術をバスに適用し、安全性・快適性の向上、滑らかな交通流動の実現、交通制約者もスムーズに乗降可能な隙間、段差の実現などを目指しています。
 本部門では、ARTに関して車両間での通信による隊列走行や公共交通優先信号システム(PTPS)等を交通ミクロシミュレーションで再現し、大量輸送の実現、所用時間の短縮などの効果を計測する技術の開発を行っています。

(3) コンパクトシティ評価ツールの開発

【二酸化炭素削減効果シミュレーションツール】
(CO2-Reduction Effect Simulation Tool: CREST)

 我が国は、人口減少・超高齢化、地方や大都市圏郊外部での過疎化、財政制約に伴う都市経営コストの効率化等に直面しており、集約型都市構造(コンパクトシティ)の推進に向けた取り組みが求められています。しかし、これらの取り組み効果を市町村が自ら客観的に評価する手法は確立されていないのが現状です。
 本部門では、コンパクトシティ評価ツールの策定を行っており、土地利用・交通モデルと社会・経済・環境分野の評価指標算定モデルを統合したツールを開発しています。今後、市町村が各々の特性に応じた都市の集約化を進める際に、集約化効果の分析・評価を行ったり、立地適正化計画で居住誘導地域を定める際に、誘導効果を分析・評価したりすることができるよう、支援して参ります。

(4) 大気汚染の予測評価等の基礎データ作成

 光化学オキシダントや浮遊粒子状物質(PM2.5等)による大気汚染の原因究明には、工場や自動車といった発生源からのNOx、SOx、PM、VOC等の大気汚染物質の正確な把握が重要です。
 これまで培ってきた排出量推計のノウハウと最新の調査・研究成果を踏まえた排出インベントリ作成ツールを構築し、多時点の排出インベントリを作成してきました。日本全体を対象とした空間分解能(1km四方)、時間分解能(月・時刻別)の高いデータは類を見ず、今後は、データベースの充実に加え、本データや大気汚染監視データを活用した大気汚染解析や、化学物質輸送モデルを活用したシミュレーション等と合わせて、地域別の課題抽出や政策提言を行って参ります。

1-3 その他

(1) 計画行政ネットワークづくりの支援

 今後の都市地域づくりにおいては、経営的発想による自治体間の連携・協議・調整が大きな課題になっています。これまで関与してきた東京都市圏の交通計画協議会や政令指定都市の国際都市計画交流組織推進協議会での経験を活かし、広域連携マスタープランの策定、関連事業計画の連携協議、マネジメント手法の検討や共通のまちづくり支援制度などについて研究・提案を行っています。

(2) 都市交通等に関する海外情報の収集整理

 先進的な海外の取り組み等に関する情報収集を行い、我が国の都市・交通の取り組みへの適用可能性や我が国の課題について調査研究を実施しています。

主な研究テーマ

  • 広域計画・都市圏計画
  • 都市計画
  • 拠点まちづくり
  • 総合交通体系
  • 個別交通手段の計画立案
  • 先進モビリティ導入検討
  • 防災まちづくり
  • 地球環境とエネルギー
  • 大気汚染・交通環境対策
  • 都市構造の評価技術
  • 動線データ解析・技術開発
  • 計画制度・手続き
  • 市民協働型まちづくり

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