IBS計量計画研究所

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平成30年度IBS研究発表会

概要

日 時 平成30年7月20日(金) 10:00~12:30
会 場 アルカディア市ヶ谷「富士(西)」
  • 会場の様子 会場の様子

プログラム

プログラム内容

挨拶 (岸井隆幸 代表理事)
  • 岸井隆幸 代表理事

東京都市圏PT調査50年の軌跡

~調査・分析・政策~

発表者石神 孝裕(都市地域・環境部門 部門長 兼 グループマネジャー)

  • 石神 孝裕

 東京都市圏においては、人の1日の移動の実態を捉えるパーソントリップ調査(PT調査)を10年毎に実施してきており、平成30年度には第6回目の調査が実施されます。PT調査では、人の移動を捉える実態調査だけでなく、そのデータを用いた課題分析と定量的事実に基づく政策提案がなされてきました。
 本発表では、過去5回実施した東京都市圏PT調査の変遷を示すとともに、過去5回分のデータを用いてPT調査データの時系列分析から見えてくる移動の実態を紹介しました。また、現在の社会経済情勢を踏まえて今後のPT調査による行動把握と政策展開の方向性についての提案がありました。

人口動態と立地環境に着目した東京圏郊外部のあり方

~ニュータウンは新技術で再び輝けるか?~

発表者溝口 秀勝(都市地域・環境部門 グループマネジャー)

  • 溝口 秀勝

 我が国では大都市への人口流入の受け皿として、多数のニュータウンが整備されてきました。これらの多くは、人口構成、住宅、土地利用、移動・交通などの面で課題を抱えています。そのような中、東京都は、都内4市にまたがる多摩ニュータウンの「地域再生ガイドライン」を策定しました。
 本発表では、この策定支援を通じて得た知見から、まちづくりの方向性、ニュータウンの新たな可能性について、①立地環境を踏まえた周辺地域との関係強化、②ニュータウン単位でスケールメリットや知名度を活かすこと、及び③空間のゆとり・公的ストックを活かした価値の向上、の3つの観点からの考察が報告されました。

自転車政策の今後について

~自転車活用推進計画による新たな自転車社会構築に向けて~

発表者高砂子 浩司(都市地域・環境部門 グループマネジャー)

  • 高砂子 浩司

 自転車利用については、地球環境問題、渋滞緩和、震災時の自転車有効性の再発見、地域活性化への活用、健康意識の高まり等、交通手段としての期待が高まる中、2017年5月に自転車活用推進法が施行され、この法律に基づいた国の自転車活用推進計画が、2018年6月8日に閣議決定されました。
 本発表では、施行までの自転車政策の変遷、自転車活用推進計画の概要・特徴等に関する概略が報告され、またこの計画に基づく自転車社会構築に向けた取組みの方向性として、必要な施策立案の視点や推進方策に関する考察ならびに報告がありました。

都市交通分野におけるビッグデータの活用とその展開

~ビッグデータの特性と活用可能性~

発表者森尾 淳(都市地域・環境部門 グループマネジャー)

  • 森尾 淳

 交通関連ビッグデータとして、特定の交通手段の動きだけでなく、手段を問わず人の動きを把握できる「携帯電話基地局データ」、「携帯電話GPSデータ」、「Wi-Fiアクセスポイントデータ」を対象に、事業者が提供するデータの特性について発表されました。
 また、都市圏内・都市内の流動、地区内の流動において、パーソントリップ調査や交通量観測結果等との比較検証結果とともに、交通関連ビッグデータの活用可能性についても報告されました。

定期的な進捗管理と効果把握に基づく効率性の高い都市交通戦略の展開

~さいたま市における「絵に描いたモチにしない工夫」について~

発表者福本 大輔(都市地域・環境部門 グループマネジャー)

  • 福本 大輔

 さいたま市では、平成22年度に短・中期(5~10年間)の実行計画として都市交通戦略が策定されました。策定後は毎年、各交通施策を担当する全ての組織に対し、施策の進捗状況を管理する調査を行い、他の施策の展開に関する情報を共有することで、市民、交通事業者、行政機関等が相互に連携し、各種交通施策を効率的にパッケージ化して進めることが可能となっています。また、複数の評価指標のモニタリングを行うことにより、効果を把握しています。
 このように、施策の実施状況や効果について、関係主体との共有・評価を毎年着実に実施し、市民のニーズに沿った施策を展開することが、都市交通戦略を「絵に描いたモチにしない工夫」となることが紹介されました。

データから読み解く自動車の使われ方の変化

~全国道路・街路交通情勢調査自動車起終点調査の分析から~

発表者北村 清州(交通・社会経済部門 グループマネジャー)

  • 北村 清州

 全国道路・街路交通情勢調査自動車起終点調査(OD調査)」は、我が国において長期に渡り自動車の利用特性を詳細に把握できる唯一の大規模統計調査です。自動車の使われ方やその変化を把握することは、都市モビリティのあり方を考える上で非常に重要です。
 本発表では、OD調査データの分析より、乗用車、貨物車の使われ方がどのように変化をしてきたかの考察や、継続的に調査データを蓄積していくことの重要性について報告がなされました。また、シェアリング、オンデマンド型交通サービス、自動運転など、自動車の保有・利用形態が今後さらに多様化していくことを見据え、新たな社会ニーズや価値観の変化に対応したデータ取得の必要性、そのための将来ビジョン共有の重要性が報告されました。

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