| 日 時 | 2026年6月18日(木)・6月19日(金) |
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| 場 所 | ステーションコンファレンス万世橋 〒101-0041 東京都千代田区神田須田町1丁目25番 JR神田万世橋ビル3F |
| 主 催 | 一般財団法人計量計画研究所 |
| 後 援 | 公益社団法人土木学会、一般社団法人日本モビリティ・マネジメント会議 |
| 協 力 | 国土交通省 |
MM技術講習会の様子
講 師萩原 剛(計量計画研究所)
モビリティ・マネジメント(MM)とは、人々や組織・地域のモビリティ(移動状況)が社会にも個人にも望ましい方向に自発的に変化することを促す一連の取組であることを説明しました。その上で、MMの背景にある過度なクルマ依存社会の弊害を示すとともに、コミュニケーションを中心とした働きかけによって自発的な行動変容を促すことの意義について解説しました。続いて、MMの進め方や、居住者・職場・学校教育を対象とした働きかけの方法について紹介しました。最後に、実例として、栃木県小山市におけるコミュニティバス利用促進MMの取組や効果についても紹介しました。
講 師水野 杏菜(計量計画研究所)
計画を策定することで、関係者間でMMの目標やプロセスを共有し、目標達成までの道筋を明確化できることを説明しました。その上で、施策の目標、実施場所、対象者と期待する行動変容、実施スケジュールといった計画策定のポイントに沿って、具体例を交えながら実践的なテクニックを紹介しました。また、これらのテクニックを盛り込んだロードマップ(実施計画)を策定し、それに沿ってMMを進めていくことで、継続的かつ効果的な取組につながることを説明しました。
講 師谷口 賢太(計量計画研究所)
まず、行動変容の心理プロセスに基づき、コミュニケーションを通じて心理的要因に働きかけることの重要性や、MMの各ツールが心理プロセスのどの段階に影響を与えるものかについて説明しました。続いて、あいさつ状や動機づけ情報、公共交通に関する情報提供、行動プラン票(アンケート)、フィードバック情報といった具体的なツールについて、意義や役割、作成のポイントを紹介しました。
講 師小松崎 諒子(計量計画研究所)
MMの評価において、MMが実施された場合(with)と実施されなかった場合(without)との差を比較することが基本であり、その比較を行うための3つの評価手法について、具体例を交えながら紹介しました。また、効果の計測には個人の変化を捉える非集計的な指標と、地域全体の変化を捉える集計的な指標があり、MMの施策目標に応じて適切な指標を選定する必要があることを説明しました。最後に、さまざまな自治体における、目的に応じた指標選定の事例を紹介しました。
講 師海老名 謙 様(宇都宮市 都市整備部 交通政策課)
宇都宮市における階層性のある効率的な公共交通ネットワークの構築に向けた取組として、基幹公共交通であるLRTの整備やバス路線の再編、郊外部における地域内交通の導入、公共交通間相互の連携強化についてご紹介いただきました。また、公共交通の利用促進を目的とした事業「Move Next Utsunomiya」の一環として実施されている新設バス路線の沿線住民や企業、学校を対象としたターゲット型MMについて、実施後に得られた効果を交えながらご説明いただきました。
講 師児玉 健 様(神戸市 交通局)
神戸市内の路線バスにおけるICカードの乗降時タッチデータを活用した路線・ダイヤ見直しの取組についてご紹介いただきました。近年のバス事業を取り巻く厳しい経営環境を踏まえ、経験と勘に頼った定性的な評価ではなく、データに基づく定量的な評価によって路線の見直しが行われていることをご説明いただきました。また、実際の再編事例を通じて、データに基づく評価が意思決定の根拠を明確化する上で重要であることをご説明いただきました。さらに、タッチデータから得られる利用者特性を踏まえた、運賃施策の導入や大学生輸送の効果検証などについてもご紹介いただきました。
講 師山本 健人 様(札幌市 まちづくり政策局総合交通計画部)
世界有数の豪雪都市である札幌市では、公共交通は「市民の足」として重要な役割を果たしており、小学校でのMM教育によって、将来を担う子どもたちに公共交通の重要性について10年以上にわたって伝えてきたことをご紹介いただきました。講演では、実際に教育現場で使用している資料をお示しいただきながら、教育カリキュラムへの組み込み方の具体例をご説明いただいたほか、MM教育を実施するにあたって構築した官民学の協力体制や、これまでの取組における課題と今後の展開についてご紹介いただきました。
講 師藤井 聡 教授(京都大学大学院)
実際に携わられたMMやマネジメントをテーマとした小説などの例をもとに、MMと経営の共通点についてご説明いただきました。法令や予算、議会の下で成り立つ行政が、地域に多様に存在する交通事業を、権限をもたない中でマネジメントすることは難しいとお話しいただきました。その困難を乗り越えるためには、行政職員全体がMMに対するモチベーションを共有し、首長が決定した自治体のビジョンに向かっていくこと、利用者の増加なども含めた、上向きのベクトルを生み出すことが重要であるとお話しいただきました。
講 師松村 暢彦 教授(愛媛大学大学院)・計量計画研究所
松村教授がMM教育の現場で実際に使用しているフードマイレージ※の教材を用いて、ワークショップを行いました。時代(1970年代・2000年代)、居住地(大阪・愛媛)でグループ分けを行い、参加者の方々に、金額などの制約のもと食材を選び、夕食の献立を絵に描いていただきました。この教材は、フードマイレージ及び地産地消への理解を深めるだけでなく、どんな手段で買い物に行くか、何を買うかといった普段の行動が環境や交通の面で社会へ影響を与えていると気づかせることをねらいとしています。
※フードマイレージは、「食品が運ばれてきた距離」×「食品の重さ」で算出される指標です。フードマイレージに交通輸送手段別のCO₂排出係数を掛け合わせることで、輸送の際に排出されたCO₂の試算ができます。
後半は、グループ毎に具体的な地域・状況等を設定し、その地域でMMを実施する場合の悩みについて質疑を行い、松村教授や講師の皆様からアドバイスをいただきました。
講 師松村 暢彦 教授(愛媛大学大学院)
冒頭では、松村教授ご自身の一日の移動やまちとの関わりを例に、公共交通は単なる移動手段にとどまらず、人々の交流や地域コミュニティを支える基盤であることをご説明いただきました。その上で、施設やサービスの整備だけでなく、その価値を伝え、人々の意識や行動の変化を促す取組が重要であることを示されました。また、MMは単なる公共交通利用促進策ではなく、人と地域社会との関わり方を見直し、豊かな暮らしや地域づくりを支える実践であると位置付けられました。 また、学校教育MMは地域交通の課題解決だけでなく、まちづくりに主体的に関わる人材の育成にもつながることをご説明いただきました。教育効果は短期間では現れにくいものの、長期的には大きな成果が期待できることから、現場における創意工夫と継続的な取組が重要であることを強調されました。
講 師今釜 卓哉 様(九州産交バス株式会社 共同経営推進室担当課長)
熊本県、熊本市、バス事業者5社で構成される「共同経営推進室」では、バスの減便など公共交通をめぐる課題に対応するため、持続可能な公共交通の実現に向けた取組を進めてきたことをご説明いただきました。具体的な施策として、重複路線の再編、5社共同によるダイヤ調整、市内中心部180円均一運賃、共通定期券の導入などを行い、一定の利用増加や収支改善効果が確認されたことをご紹介いただきました。また、自動車利用の1割を公共交通へ転換するには、公共交通の利用を倍増させる必要があり、便数・路線の増加、料金負担の低減、速達性・定時性の向上を組み合わせることが重要であるとご説明されました。最後に、ポイントとして、チャレンジングな目標設定、事業者間のコミュニケーション、人員・予算の確保、データ活用の重要性をお示しいただきました。
講 師山本 将士 様(国土交通省 総合政策局 参事官(交通産業)室)
国土交通省は、人口減少・少子高齢化による地域公共交通の縮小や担い手不足を背景に、令和5年10月の地域交通法改正を踏まえ、交通DX、交通GX、官民・交通事業者間・異分野間の共創を通じた地域交通の「リ・デザイン」を進めていることをご説明いただきました。また、地域公共交通の維持・充実に向けて、交通空白の解消や地域交通基盤の整備に取り組むとともに、地域公共交通関連予算や各種支援制度を活用しながら、地域の取組を後押ししていることをご紹介いただきました。 さらに、国土交通省が推進するMM施策として、エコ通勤優良事業所認証制度や、MM教育に関する学校支援制度についてもご紹介いただきました。
※ 都市計画CPDプログラム認定
土木学会継続教育(CPD)プログラム認定