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2025年IBSフェローシップ発表会は、前年同様、リアルタイム配信を併行して開催いたしました。
ご発表頂きました皆様方、ならびにお忙しいなか、会場および配信にてご参加頂きました皆様方に、厚く御礼申し上げます。
日 時 | 2025年7月22日(金) 13:30~17:00 |
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会 場 | 御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター「Hall WEST」 |
発表者吉野 和泰(鳥取大学工学部 助教)
パリ郊外鉄道ヴィンセンス線廃線跡の高架橋につくられたプロムナード・プランテ(4.9km)、およびニューヨークのウエストサイド線の高架部分に建設されたハイライン(2.3km)は、回廊公園や空中緑道として再設計され、多くの利用者に親しまれています。東京においても、東京高速道路(KK線、約2km)で、周辺まちづくりに合わせ、歩行者系ネットワークを形成し、上部空間をTokyo Sky Corridorとして整備する検討が進められています。
本研究では、これらPARISプロムナード・プランテ、NYハイライン、TOKYOスカイコリドーの3つを対象に、それぞれの歴史的経緯、周辺の再開発、事業方法等の比較研究を行います。
2025年IBSフェローシップ発表会では、ニューヨークおよびパリの事例の背景と実際を詳細に比較分析したうえで、スカイコリドーの実現化に向けた設計や手法・制度の工夫について、報告および提案がありました。
発表者栗山 尚子(神戸大学大学院 工学研究科建築学専攻 准教授)
良好な都市空間の創出を目的に、2019年初頭、シアトルのアラスカンウェイ高架橋の代替トンネルが完成し、古い高架橋の閉鎖と解体が行われ、ウォーターフロント沿いの新しい開発が行われました。
本研究では、シアトルのアラスカンウェイ高架橋撤去プロジェクトの経緯を整理するとともに、現状における道路交通の実態と周辺の再開発を含めたウォーターフロントの整備状況を整理し、さらにその評価を行います。
2025年IBSフェローシップ発表会では、最終報告として、高架橋撤去プロジェクトにおける複数事業の連鎖的展開の経緯と、その中での各種団体を含む民間からのプロジェクト関与の重要性に関する考察を通じ、東京・日本橋地区での首都高高架橋撤去事業への期待について、発表がありました。
発表者坂井 孝典(東京海洋大学学術研究院流通情報工学部門 准教授)
EC物流の需要増は世界的な潮流となっています。その最大のボトルネックはラストマイル配送といわれ、我が国だけでなく世界各国でラストマイル配送のための地区物流対策が課題となっています。具体的な地区物流対策の内容は国で異なり、日本では都市内配送拠点の立地規制はないものの路上駐停車に対する規制が厳しい一方、欧州ではそもそも都市内への配送拠点の立地が難しいケースが多くみられます。
そこで本研究では、欧州を含めた海外の複数都市を調査対象に、地区物流対策の取組等について情報収集し、それぞれの関係性を整理したうえで日本との比較を行ない、我が国の都市・交通政策への示唆と課題を考察します。
2025年IBSフェローシップ発表会では、中間発表として、既存文献整理およびベルギー・シンガポール・米国での事例報告と、今後の現地視察予定について発表がありました。
発表者邱 秉瑜(一般財団法人運輸総合研究所 研究員)
李 晨瑋(株式会社アルメック 海外事業本部交通計画部 マネージャー)
近年台湾では、高雄市の環状LRT、新北市の淡海LRT、安坑LRTが整備・開業されています。本研究では、これら台湾おけるLRT整備に関する計画構想と整備に至る経緯を整理するとともに、関連する沿線都市開発、都市交通政策を含む取組や今後の延伸計画等について整理し、それらを踏まえて、宇都宮LRT(2023年8月開業)をはじめとする日本におけるLRT整備との比較を通じて、今後の我が国におけるLRT整備に関する課題をまとめます。
2025年IBSフェローシップ発表会では、中間発表として、台湾におけるLRTの法制度や財源計画を含む現状に関する報告と、高雄市、新北市(2路線)におけるLRT関係各所へのヒアリング・現地調査の報告、ならびに今後の研究活動計画について報告がありました。
発表者岡田 潤(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 特任助教)
イノベーションディストリクトに関する研究は、主にプレイヤーの組成の在り方や成長を支える経済支援の在り方が中心となっていますが、一方で、地区の立地と都市圏内とのつながりや、交通基盤、交通空間・パブリックスペース、交通手段の使われ方など、空間基盤関連の基本的情報の分析は充分ではありません。
そこで本研究では、上記の問題意識を踏まえ、米国における都市のイノベーションディストリクト事例を複数対象として、最新の経済・社会面からの都市事情を把握したうえで、その現状の成果と特徴を整理し、日本への応用の方向性について考察するものとします。
2025年IBSフェローシップ発表会では、初回発表として、米国内のイノベーションディストリクトの概要説明に加えて、現地ヒアリングを含む研究計画とスケジュールの概要について提示されました。
発表者日野 祐滋(一般社団法人 日本モノレール協会 専務理事)
大沢 昌玄(日本大学 理工学部 土木工学科 教授)
タイ国では、区画整理法が2004年に制定され、JICAなど国際協力機関の支援のもとで区画整理手法が導入・実施されてきました。区画整理法の制定20年を経過し、改めて、わが国初の都市整備手法の国際展開であるタイ国の区画整理制度の成果と課題整理は、今後の都市整備手法の国際展開に必要と考えられます。
本研究では、タイ国での区画整理の事例を取り上げ、最新情報に基づく実態と成果を整理し、同国での区画整理事業の制度的・文化的・技術的な課題を多角的に整理します。
2025年IBSフェローシップ発表会では、今後の研究方針のほか、タイにおける区画整理事業技術移転の特徴およびその背景と経緯について発表がありました。
※ 都市計画CPDプログラム認定
土木学会継続教育(CPD)プログラム認定