IBS計量計画研究所

English

2006年度(第12回)フェローシップ:2006~2008年

第1課題
中国における道路関係社会資本の発展と物流の変遷の関連性
趙 勝川 (大連理工大学管理学院)
概要:
 近年の中国経済の発展にともない、物流活動も活発化している。貨物取扱量の増加に対して、港湾をはじめ社会資本整備が精力的に進められているが、中でも国内輸送に大きな役割を果たす高速道路をはじめとする道路関係社会資本の整備は著しい。中国は人口規模のみならず地理的な国の規模もきわめて大きく、また、近年急速に経済成長をとげ、モータリゼーションなど社会の近代化も急激である。
 本課題は、急激に変化しつつあると考えられる現代の中国本土を中心とする国内物資流動について道路関係社会資本の役割を、鉄道、航空などと対比させながら、また、中国が国際社会とのかかわりを急激に進める過程との関連で検討する。
第2課題
北欧諸国における地域循環型社会形成が都市形成に果たす影響
山下 潤 (九州大学大学院比較社会文化研究院)
概要:
 京都議定書の発効により先進諸国は厳しい対応が迫られるが、持続可能な社会形成には京都以後への展望がさらに重要である。その方向として、北欧で展開されている循環型社会を目指す都市づくりが注目される。日本では多くの人口が都市に居住する中で人口の減少期を迎え、都市縮退の議論がさかんとなり、都市成長期にとられたニュータウン政策をはじめとする郊外化対策が大きな転換期を迎えている。20世紀後半、北欧でも都市拡大を経験し同様の政策が進められたが、それと同時に循環型地域づくりも進められた。
 本課題は、北欧諸国における循環型社会形成、持続可能な社会形成にかかわる取り組みを対象に、EU、国、地域などさまざまなレベルにおける動きが都市形成に及ぼす影響を検討する。
第3課題
アメリカにおける地域クラスターの形成と都市形成の関連性
有田 智一 (筑波大学大学院システム情報工学研究科)
概要:
 科学技術に立脚した企業を中核としたイノベーション活動の地域的集積が経済発展を牽引する可能性に着目して、世界各地で地域クラスター政策が進行している。アメリカでは、1980年代あたりからこのような集積により爆発的な成長を遂げた地域が、シリコンバレーをはじめいくつか見られる。その一つとしてテキサス州オースティン都市圏は短期間に大規模なクラスター形成に成功した事例である。この地域は、大学を中心にハイテク企業が急激に集積し、都市の拡大・成長も急激に進行した。また、この中で商業活動など活気ある都心部を維持している。
 本課題は、オースティン都市圏を対象にして、地域クラスターの形成がいかに都市形成をもたらしたか、都市圏形成における郊外部と都心部の相互依存性はどのように変化したか、持続可能な都市形成のためにどのような取り組みがなされたか、といった点に焦点を当て、産業・科学技術振興と都市形成の関連性を検討する。

IBSフェローシップ委嘱課題の一覧へ戻る

PAGETOP