IBS計量計画研究所

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第10回 モビリティ・マネジメント(MM)技術講習会

概要

日 時 2017年7月6日(木)・7日(金)
場 所 弘済会館4階 蘭(〒102-0083 東京都千代田区麹町5-1)
主 催 一般財団法人計量計画研究所
後 援 公益社団法人土木学会、一般社団法人日本モビリティ・マネジメント会議
協 力 国土交通省
  • MM技術講習会の様子 MM技術講習会の様子

プログラム

1日目

モビリティ・マネジメント概論

講 師谷口 綾子 准教授 (筑波大学)

谷口 綾子

「一人一人のモビリティ(移動)が社会にも個人にも望ましい方向へ自発的に変化することを促す、コミュニケーションを中心とした交通施策」というMMの定義や基礎知識についてご説明いただきました。公共交通利用のメリットを、環境問題や健康、子どもに与える影響、肥満者割合や医療費、幼少期の家庭内・地域内コミュニケーションなどの観点からご自身の研究を踏まえてお話しいただきました。合わせて、徒歩や自転車、公共交通への転換を促すにためには、情報発信の方法やイメージ戦略が重要であることを具体的事例とともにご紹介いただきました。

MM実施に関わる制度

講 師角湯 克典 様(国土交通省総合政策局)

角湯 克典

各都道府県における人口増減率と輸送人員などの統計データを用いて、地方公共交通を取り巻く環境についてご説明をいただきました。また、国の施策「コンパクト+ネットワーク」をキーワードに、コンパクトシティの実現に重要となる地域公共交通網形成計画制度のポイントおよび計画におけるMMの位置づけを整理した上で、MMに関する支援策、MM教育の効果、エコ通勤のメリットや事例として企業や自治体などの取り組みをご紹介いただきました。

MMの実務に関わる基礎技術②MM関連グッズの意義と活用のポイント

講 師北村 清州 (計量計画研究所)

コミュニケーションツールであるMM関連グッズを活用し、個々の意識・行動の変容を促すためのプロセス、MM関連グッズ作成における注意点や工夫など、具体的なグッズを用いて紹介いたしました。

MMの実務に関わる基礎技術③モビリティ・マネジメントの実施における効果計測のポイント

講 師矢部 努(計量計画研究所)

MMを実施した場合(施策群:with)としなかった場合(制御群:without)の差異を施策効果とみなす効果計測の基本的な考え方や、計測方法、施策目標に応じた指標選定例等について説明いたしました。

行政主体によるMM事例紹介①“せんだいスマート”~公共交通の利用促進~について

講 師菅原 洋二 様 (仙台市)

菅原 洋二

仙台市での公共交通利用促進施策である「せんだいスマート」の取り組みについてご説明いただきました。転入者や大学生を対象としたMMの実施事例や小学生の交通環境学習実施例などに加え、人口が減少する状況においてMMを進めていく上で苦労した点や関連グッズ作成の過程などについてご紹介いただきました。

行政主体によるMM事例紹介②さいたま市における学校MMをはじめとした取組み

講 師田口 浩一 様(さいたま市)

田口 浩一

さいたま市の計画と連携させながら持続的に取り組まれている学校MMについてご説明頂きました。小学校での授業で実際に使用した資料、教材や教育関係者アンケートとともに、学校教育にMMを導入する際の注意点や効果についてご紹介いただきました。また、エコ通勤等の他部局での取り組み、自動車に依存しすぎないライフスタイルに向けた取り組みについてもご講演いただきました。

行政主体によるMM事例紹介③「とよはしエコ通勤運動」をはじめとした事業所MMの取り組み

講 師佐藤 靖浩 様(豊橋市)

佐藤 靖浩

MMの試行的導入のプロセスや、豊橋市役所がモデル事業所となり継続的に取り組んできたエコ通勤運動の内容についてご紹介していただきました。MMを実施する際の目標設定や通勤手当の見直しなど具体的な実施内容・取り組み成果やコミュニケーションアンケートの結果、今後取り組みを継続していく上での課題をご説明いただきました。

実務におけるMMの推進に向けて

講 師藤井 聡 教授 (京都大学)

藤井 聡

MMを実施していく上で必要なことについて、ご自身の経験や様々な事例をもとにご説明いただきました。公共交通の活性化には、「明確な目標を持つこと」、「目標達成の為に深く思考を巡らせること」、「成功の為に決して諦めず取り組み続ける熱意が必要であること」など、担当者の取り組み姿勢についてご説明いただきました。

2日目

MMに係るワークショップ

講 師松村 暢彦 教授 (愛媛大学)・計量計画研究所

ワークショップの様子

ワークショップの前半は、フードマイレージについて理解するための教材を参加者に体験していただきました。フードマイレージは「食品の生産地から消費地までの距離」×「食品の重さ」で算出される指標であり、フードマイレージに交通輸送手段別のCO2排出係数を掛け合わせると、輸送の際に排出された二酸化炭素量の試算ができます。フードマイレージの教材を用いたワークショップでは、異なる時代・地域の住民になりきり、夕食の献立の買い出しに行くような、生活の中の身近な行動を通して、食べ物と環境問題(CO2の排出)に関して、自ら考えるきっかけを作ることをねらいとしています。本ワークショップを通じて、教材のねらいと授業の内容を児童に楽しんでもらいながら分かりやすく伝えるための工夫について、松村教授にご説明いただきました。
後半は、受講者の皆様にMMを実施する際の「課題」や「お困りの点」を挙げていただき、松村教授からご経験に基づくアドバイスをいただきました。

後半の詳細はこちらをご覧ください

学校教育MMに関わる基礎技術

講 師松村 暢彦 教授(愛媛大学)

松村 暢彦

MMの定義を社会科の授業の視点から解釈することで、MMの教育理念についてご説明いただきました。また、小学生や保護者、大学生など対象別のアプローチ方法と様々な実践事例を紹介していただきました。学校教育MMの留意事項として、教育を目的として(手段とするのではなく)学校教育を支援する立場から関わることの重要性や、現場の教師を重視しつつ、授業で伝えたいことはしっかりと主張することなど、ご自身の経験から様々な示唆をいただきました。

民間主体によるMM事例紹介みちのりグループの公共交通活性化の取り組みについて

講 師大下 篤志 様(株式会社みちのりホールディングス)

大下 篤志

地域の観光資源を活かした公共交通活性化の工夫や、地域に適したバスネットワーク再編の事例についてご説明いただきました。地域経済へ貢献するには、運行の質の向上、旅行サービスの充実の2点による移動需要の創出が重要であるとご教授いただきました。

MMの実施に関わる基礎技術①大規模なMMのノウハウ

講 師萩原 剛(計量計画研究所)

MMの実施においては、コミュニケーション手法の特徴を把握し、各MMの施策において適切な手法を選択することの重要性を、身近な相手とのコミュニケーションを例に説明いたしました。また、「対話型コミュニケーション」によるMMの意義に対する理解が、効果的かつ持続性がある一方、訪問スタッフの育成や大規模展開を想定した制度設計が課題であるということ、数万人規模の大規模MMにおいても「個別性・二面性・具体性」を意識した、きめ細かく丁寧な対応を行うことが重要であるということを、福岡市でのMMの事例と共に紹介いたしました。

※ 都市計画CPDプログラム認定
  土木学会継続教育(CPD)プログラム認定

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