IBS計量計画研究所

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第13回 モビリティ・マネジメント(MM)技術講習会

概要

日 時 2021年7月1日(木)
場 所 コモレ四谷タワーコンファレンス「Room D・E」(控室:RoomA・B)
(〒162-0844東京都新宿区市谷本村町4-1)
主 催 一般財団法人 計量計画研究所
後 援 公益社団法人土木学会、一般社団法人日本モビリティ・マネジメント会議
協 力 国土交通省
  • MM技術講習会の様子

プログラム

1日目

MMの実施に関わる基礎技術

講 師萩原 剛 (計量計画研究所)

MMの「背景」では、行動経済学を例に、人々は必ずしも合理的な選択をするわけではなく、適切なコミュニケーションによって社会にとって望ましい方向に行動変容し得ることや、過度な自動車利用が引き起こすリスクを説明いたしました。MMの「手法」ではMM関連グッズの紹介とともに、情報提供の工夫点を説明いたしました。また、MMの「事例・進め方」では、グッドデザイン賞を受賞した小山市コミュニティバス利用促進策の事例を紹介いたしました。

行政主体によるMM事例紹介①公共交通の利用促進策について

講 師小林 達哉 様(甲府市)

甲府市の2017年から2019年度の間に実施した、およそ25の施策に及ぶ多種多様な公共交通利用促進策の取り組み、またその効果として路線バスの利用者数が増加したことをご説明いただきました。数多くの利用促進策を、限られた職員で実施するために課題を再検討した上で、公共交通を利用してほしいターゲットを再度認識するというスキームをご説明いただきました。また、実現した施策のみならず甲府市民が書籍購入金額全国1位であることを活かした施策を考えていたことなど地域の特徴に寄り添った施策を立案していることをご紹介いただきました。

行政主体によるMM事例紹介②小山市コミュニティバス利用促進MM~グッドデザイン賞への道~

講 師淺見 知秀 様(小山市)

グッドデザイン賞を受賞した小山市コミュニティバス「おーバス」の取り組みをご説明いただきました。生活情報タブロイド紙「Bloom!」の制作にあたっては、ブランディング・デザインを重点的に考えたこと、また、従来定期券の7割引きで「おーバス」全線対象とした定期券「noroca」の導入過程についてご紹介いただきました。これらの取り組みにより若者をはじめ、バスの利用頻度が上がり、自動車依存度の大きかった小山市が変わりつつある状況をご説明いただきました。また講演の最後にはMMの枠を越えて小山MaaSの展望もご紹介いただきました。

学校教育MMに関わる基礎技術

講 師松村 暢彦 教授(愛媛大学)

豊かな暮らしを実現するためには、自分の街との関わり方を変える必要があり、MMは価値観の変容の手助けとなるということを、ご自身の生活や経験に基づいてご説明いただきました。学校教育MMは長期的に取り組むことが重要であり、継続的に実施してきた兵庫県川西市では通学定期の利用者が増えており、徐々に効果が出てくるということをご説明いただきました。一方で、あくまでも目的は学校教育であることや、指導要綱を確認して教師と協力すること、安易すぎる体験型授業は却って理解が浅くなるリスクがあることなど、注意点についてもご説明いただきました。

実務におけるMMの推進に向けて

講 師藤井 聡 教授(京都大学)

決められた予算で漠然と運行を続ける既存のビジネスモデルを変革し、マーケティングの視点を持ってMMに取り組むことの重要性を、京都丹後鉄道や十勝バスの事例などを交えてご説明いただきました。マーケティングを継続してイメージ向上に成功している自動車と、社会的制約からマーケティングが不可能になり衰退したタバコとの対比で、その重要性をわかりやすく示していただきました。また、新型コロナウイルス感染症の影響で公共交通利用が大きく減少している中で、利用者の過剰な恐怖心を和らげることの必要性についてもご説明いただきました。

民間・地域・行政が連携したMM事例紹介地域公共交通支援のサービスとしてのモビリティブレンド

講 師森川 高行 教授(名古屋大学/一般社団法人ライフアンドモビリティ)

中山間地域、オールドニュータウン、地方都市など、公共交通が不便な地域を主な対象としたモビリティサービスであるモビリティブレンドについて、都市型MaaSと異なる点や期待される効果をご説明いただきました。また、豊田市、春日井市高蔵寺ニュータウン、幸田町でのモビリティブレンドの実装を目指した取り組みとして「ゆっくり自動運転」などの具体例と、実証実験の概要や知見、今後の展開をご紹介いただきました。

民間・地域・行政が連携したMM事例紹介コオペラティブ交通マネジメント稲武・幸田町での取り組み

講 師剱持 千歩 研究員(名古屋大学/一般社団法人ライフアンドモビリティ)

従来の自治体主体のものとは異なる、住民が主体となって交通サービスの計画・実施を進めるコオペラティブ交通マネジメントという新たなスキームをご紹介いただきました。コオペラティブ交通マネジメントは住民が主体になるため、よりニーズに合った公共交通サービスが構築されることをご説明いただきました。また、コオペラティブ交通マネジメントの導入地域として、豊田市稲武地区・幸田町の事例では、住民がオーナーシップを発揮して自治体と意見交換を重ねていることを動画を交えてご紹介いただきました。

民間・地域・行政が連携したMM事例紹介一般社団法人ライフアンドモビリティの設立背景と活動内容

講 師中村 俊之 特任准教授(名古屋大学/一般社団法人ライフアンドモビリティ)

持続可能な社会形成に向けて、日常生活や経済活動に欠かすことのできないモビリティの課題・問題を解決することを目的として設立されたライフアンドモビリティについてその役割などをご説明いただきました。また、ライフアンドモビリティが構築した「ソラモシステム」は自治体、民間事業者の抱える様々な課題に対応してよりよいモビリティ社会実現のためのオーダーメイドシステムであること、また、その仕組みや地域実践事例をご紹介いただきました。

MM実施に関わる制度

講 師茶谷 晋太郎 様(国土交通省)

MM実施に関わる制度に関して、地域公共交通をめぐる現状や、関連する法律の改正内容についてご説明いただきました。また、新型コロナウイルス感染症による公共交通への影響や、ポスト・コロナ時代を見据えた取り組みの具体例としてエコ通勤の推奨の他に、様々な支援事業のご紹介をいただきました。

※ 都市計画CPDプログラム認定
  土木学会継続教育(CPD)プログラム認定

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