IBS計量計画研究所

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第9回 モビリティ・マネジメント(MM)技術講習会

概要

日 時 2016年7月28日(木)・29日(金)
場 所 グランドヒル市ヶ谷 2F 白樺西(〒162-0845 東京都新宿区市谷本村町4-1)
主 催 一般財団法人計量計画研究所
後 援 公益社団法人土木学会、一般社団法人日本モビリティ・マネジメント会議
協 力 国土交通省
  • MM技術講習会の様子  MM技術講習会の様子 
  • MM技術講習会終了後に受講証を進呈する様子 MM技術講習会終了後に受講証を進呈する様子

プログラム

1日目

モビリティ・マネジメント概論

講 師谷口 綾子 准教授 (筑波大学)

谷口 綾子

統計資料や研究結果を用いて、クルマや公共交通利用のメリット・デメリットを示し、その上で「一人一人のモビリティ(移動)が、社会にも個人にも望ましい方向に自発的に変化することを促す、コミュニケーションを中心とした交通施策」を実施する、というモビリティ・マネジメント(以下「MM」)の定義や基礎知識についてご説明いただきました。また、ターゲットに合わせたMMが必要であるという多様な事例をご紹介いただきました。

MMの実施に関わる基礎技術①大規模なMMのノウハウ

講 師須永 大介 (計量計画研究所)

MMの実施において、MMの意義に対する理解は、「対話型コミュニケーション」によって効果的かつ持続的となること、また数万人規模の大規模なMMにおいても「個別性・二面性・具体性」を意識した、きめ細かく丁寧な対応が重要であることを、福岡市でのMMの事例と共に紹介いたしました。

MMの実施に関わる基礎技術②MMグッズの意義と活用のポイント

講 師北村 清州 (計量計画研究所)

一人一人の行動を変化させるために、MM関連グッズがコミュニケーションツールとしてどのように役に立つのか、具体的なグッズをご紹介し、さらにグッズ作成・活用のポイントについて説明いたしました。

MMの実施に関わる基礎技術③MM実施の効果計測のポイント

講 師矢部 努(計量計画研究所)

MMの効果を評価する方法について、施策群(MMを実施した場合)と制御群(MMを実施しなかった場合)の設定による効果把握の手法や、効果を示す指標となる評価尺度の例示、評価尺度ごとの計測方法について説明いたしました。

行政主体によるMM事例紹介①コミュニティバス「Tacoバス」の利用促進について

講 師阿江 良朗 様 (明石市)

阿江 良朗

地域との地道なコミュニケーション活動により、年々利用者を伸ばしてきた明石市のコミュニティバス「Tacoバス」についてご説明いただきました。「Tacoバス」の利便性向上に向け、運行サービスのポテンシャルを最大限に引き出す取組や、利用促進における課題に応じた方策の展開、地域との連携強化などの取組をご紹介いただきました。

行政主体によるMM事例紹介②多様な主体と連携した「ベスト運動」の取組について

講 師中森 紀幸 様 (福山市)

中森 紀幸

おおよそ10年にわたり継続して実施されている福山都市圏のノーマイカー運動「ベスト運動」についてご説明いただきました。行政主導による推進委員会の運営で、企業から協賛金を募り、その協賛金を柔軟に利用することで、行政、地元FM局、協賛企業、「ベスト運動」参加者のそれぞれにメリットが生じる仕組みを構築し、福山都市圏の渋滞緩和を達成した取組や、また小学校での授業実施など「ベスト運動」の支援施策をご紹介いただきました。

行政主体によるMM事例紹介③秦野市の「交通スリム化教育」について

講 師保坂 富士雄 様 (秦野市)

保坂 富士雄

秦野市の交通需要マネジメント(TDM)計画における「交通スリム化」の一環として、市内全ての小学校を対象に実施している「交通スリム化教育」についてご説明いただきました。具体的な「交通スリム化教育」の実施内容や、教員を対象にした研修会の取組など、「交通スリム化教育」を効果的に行うための工夫についてご紹介いただきました。

実務におけるMMの推進に向けて

講 師藤井 聡 教授 (京都大学)

藤井 聡

MMを実施していく上で、関係各所からの理解を得るために必要なことについて、ご自身の経験からご説明いただきました。MMの理解を得る上で、理論的な説明も必要であるものの、雰囲気や機運を掴むためには担当者の熱意をもった取組み姿勢が重要であること、またそのためには遠回りになっても地道な関係作りが必要であることなどをご説明いただきました。

2日目

MMに係るワークショップ

講 師松村 暢彦 教授 (愛媛大学)・計量計画研究所

ワークショップの様子

ークショップの前半は、食べ物と環境問題(CO2の排出)について考えるための教材である「フードマイレージ※)ゲーム」を参加者全員に体験していただきました。  フードマイレージゲームは、夕食の献立を考え買い物に出かけるといった、日常の何気ない行動をテーマとして扱い、目の前の食べ物がどこからどのようにして運ばれ自分の前にあるのか、フードマイレージの指標を用いて考え、買い物での食材の選択が環境問題(CO2の排出)やエネルギーの消費などと深く関わっていると認識してもらうねらいがあります。
 本ワークショップを通じて、教材のねらいと、授業の内容を児童に楽しんでもらいながら分かりやすく伝えるための工夫について、松村教授にご説明いただきました。

※)フードマイレージとは「食品の生産地から消費地までの距離」×「食品の重さ」で算出される指標・考え方であり、フードマイレージに交通輸送手段別のCO2排出係数を掛け合わせると、輸送の際に排出されたCO2が概算できます。

 後半は、受講者の皆様がMMを実施する際の「課題」や「お困りの点」を挙げていただき、松村教授からご経験に基づくアドバイスをいただきました。

後半の詳細はこちらをご覧ください

学校教育MMに関わる基礎技術

講 師松村 暢彦 教授(愛媛大学)

松村 暢彦

MMの定義を社会科の授業の視点から解釈し、MMの教育理念と様々な実践事例を紹介していただきました。MM教育の留意事項として、「教育を(手段とするのではなく)目的とし、学校教育を支援する立場を取ること」の重要性や、「安易な体験型授業は混乱のもと」であることなど、様々な示唆をいただきました。

民間主体によるMM事例紹介ダイヤ最適化と地域おこしによる路線バス維持の取り組み

講 師谷島 賢 様 (イーグルバス株式会社)

谷島 賢

公共の観点からバス事業の本質を見失わず、かつ経営者として会社を維持する工夫をご説明いただきました。その中で、様々なデータを収集し解釈する際には、表面のみを見るのではなく、「人間の心」でデータが示す真実を観ることが重要であるとご教授いただきました。

MM実施に関わる制度

講 師角湯 克典 様(国土交通省総合政策局)

角湯 克典

公共交通政策に関する諸制度と、MMの関係についてご説明いただきました。また、MMを実施していく上で、運転免許を持たない高齢者の増加、公共交通利用者の増加、高齢者のトリップの増加など、MMを取り巻く環境に関する留意点についてご指摘いただきました。

※ 都市計画CPDプログラム認定
  土木学会継続教育(CPD)プログラム認定

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