IBS計量計画研究所

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「MMに係るワークショップ」全体討議概要(第10回/2017年)

全体討議概要

「MMに係るワークショップ」の後半では、受講者の皆様がMMを実施する際の「課題」や「悩み」・「お困りの点」を挙げていただき、それらについて講師を含めた参加者全員で議論することにより、今後MMを進めていくための知見を共有しました。

学校教育MMを実施するときの悩み

使用する教材の工夫や、カリキュラムの都合で調整が難しい
  • 交通エコロジー・モビリティ財団のHPに教材の例があり、教材ごとに対象の学年を提示している。また、教育現場においてアクティブラーニングが重要視されつつあるので、学校教育MMを通じてアクティブラーニングが可能だと伝えることが重要である。

    ※アクティブラーニングとは、教員が講義形式で一方的に教えるのではなく、学生たちが主体的に、仲間と協力しながら課題を解決するような指導・学習方法の総称。
学校MMの普及の方法を知りたい
  • 交通エコロジー・モビリティ財団の学校支援制度を用いることや、教育委員会を巻き込むことが考えられる。
  • 市役所や教育委員会等にある人脈を活かし、実施につなげる手法も考えられる。
  • 都市マスタープランなど、行政計画にMMを位置づけることができると実現性が向上する。
大学でMMを行う場合の仕掛けを知りたい
  • 大学の先生に、モビリティで困っていることの相談を持ちかけることが重要である。その際、筑波大学における事例が参考になる。
小学生へのMM教育について
  • 小学校におけるどの教育とつながりがあるかを考慮し、その上で伝えたいことを明確に持ち、伝えることが重要である。
MM教育の授業内容を保護者と共有する方法
  • 学級通信を用いて、保護者に情報の共有をすることができる。
  • 子供たちから感想文が返ってきた場合は、必ず返信すること。日々の仕事の中でも、優先度が高いものだと考えている。
学校からMMの実施を断られた場合の対策
  • お金が必要な場合、交通エコロジー・モビリティ財団の学校支援制度を用いることが考えられる。人が足りない場合、出前授業等で人を出すことが考えられる。
  • MM実施に積極的な小学校を探し、ニーズを引き出すことが重要である。
  • 教育委員会主催の、夏の教員研修の題材として学校MMを用いることを働きかける。
幼稚園に働きかけた事例、また幼稚園の保護者の方と協力して実施した事例について
  • 幼稚園に働きかけた事例は無いと思われる。仮に幼稚園でMMを実施する場合、保護者の方を対象にした交通安全教育が適当である。

高齢者に対し実施する場合の悩み

高齢者を対象にした取組の事例はあるか
  • 高齢者が活用できる交通手段とその維持方法を考えることが一つの方法である。
  • 山梨大学の佐々木先生が学生と協力して集落の高齢者の家に一軒一軒回り丁寧なコミュニケーションを通して、コミュニティバスの利便性向上に取り組んだ事例がある。
MMの考え方を高齢者に説明することが難しい
  • 公共交通手段が自家用車の代替手段として機能するという点から話を始め、徐々に話を広げる。
  • 高齢者の自動車免許返納を推進するには代わりの交通手段が重要となる。代わりとなる交通手段が無い地域でいきなり免許返納は難しいので、先ずは公共交通機関が使える地域から始めるのが良いと思われる。できることから少しずつ広めていくと良い。

公共交通の不便な地方で実施する場合の悩み

住民の方にバスを使用してもらう仕掛けを知りたい
  • サービスを変える時など、何かが変化する際がMMの仕掛けを行う絶好のタイミングである。
バス路線再編における留意点
  • パターンダイヤを組み、住民が乗り継ぎをしやすいことが基本。サービスが向上しないと住民は利用しない。
  • 運賃を変更するのはサービスを向上させても効果が表れないときの奥の手である。

効果の示し方に関する悩み

上司、財務に対するMMによる効果の説明が難しい
  • センサー機器を用いて乗降客数をリアルタイムで捉えられる仕組みを作った例がある。
  • 周辺住民の方にアンケートを取り、得られた回答とデータを組み合わせてMMに展開する。

職場を対象としたMMに関する悩み

行政職員としての立場でどう実施すればよいか
  • 各企業の職員に適した時刻表を配布する。
  • 転勤が決まった人にバス路線マップを渡し、バス路線沿いに住んでもらえるよう仕向ける。その方法の一つとして協議会を設置し、各企業に事前にMMに関するお願いをすることが挙げられる。
多くの人は他人事としか思っていない
  • 利用しやすいサービスにすることが先決。無理やり強制してもうまくいかない。協議会を設置して意見を共有し、例えば始業時間を調整するなど、できることをやっていくと良いと思われる。
参加企業が少ない
  • 取組の効果を実感してもらうと協力者が少しずつ増えていく。松江の事例では、年に1回、通勤に自家用車を利用しない日を設定し、実際に渋滞が解消された結果、人々が取組の効果を実感し、協力企業を増やすことができた。協力者を増やす方法として、取組の効果を周知し、継承していくことが挙げられる。

MM実施体制に対する悩み

印象に残る取り組みはあるか
  • 能勢電鉄100周年記念イベントの一環で、沿線における「思い出の写真」を募集した事例がある。定量的な方法ばかりでなく、人の情緒に働きかける方法も選択肢として考えられる。その際、人の気持ちを動かす方法を現場の人が考えることが重要である。その上で専門家に相談すること。

その他の悩み

観光地のMMについて
  • 発着場所のパターンが多岐にわたることが特徴である。
  • 京都市の行った大規模に実施する方法や、サンケイリビング新聞社が、フリーペーパーである地域紙を用いて情報提供を実施した事例がある。また、パークアンドライドポートやコミュニティサイクルのポートで情報提供を行う方法などが考えられる。

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