IBS計量計画研究所

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「MMに係るワークショップ」全体討議概要(第11回/2018年)

全体討議概要

「MMに係るワークショップ」の後半では、受講者の皆様がMMを実施する際の「課題」や「悩み」・「お困りの点」を挙げていただき、それらについて講師を含めた参加者全員で議論することにより、今後MMを進めていくための知見を共有しました。

学校教育MMを実施するときの悩み

出前講座を実施する際の教員の協力体制を構築する良い事例を教えてほしい
  • 教育委員会の協力を得ることが理想的である。小学校の先生の相談に丁寧に対応し、信頼関係を築いて連携を取れた好事例として札幌市の取組が参考になる。
学校教育MMの参考にできる副読本や紹介DVD等の教材があれば教えてほしい
  • 地域を紹介する自治体作成の副読本(「わたしたちの〇〇市」など)の中に、交通の話を取り入れた川西市等の取組が参考になる。
学校への送迎率が高いため、通学に対するMMの仕掛け方を教えてほしい
  • 地元高校生と協力して優れたバスマップを作成し、JCOMMデザイン賞を受賞した沖縄県の事例が参考になる。送迎率の高い高校に、一度相談に行くことが有効と考えられる。

地方(公共交通が不便な地域)での悩み)

公共交通が不便な地域におけるMMの成功事例を知りたい
  • 上田市、当別町、八戸市、五所川原市等のJCOMM賞受賞例が好事例として挙げられる。また、山梨大学の佐々木先生の研究チームは、北杜市で一軒一軒回って直接的コミュニケーションを通して利用促進を図っており、好事例として参考になる。

効果の出し方、示し方に関する悩み

上司や財務にMMの効果を説明する良い方法を教えてほしい
  • JCOMMのHP(MMに関する情報資料)を参照されたい。費用対効果はかなり良いはずである。
各種MMの効果測定方法としてインパクトのある表現方法を教えてほしい
  • スマートフォンや赤外線センサー等を用いてバスの乗降数をカウントすることも、効果測定方法として有用である。利用者数の増加を数値で示すことが重要である。
渋滞緩和に必要な車から公共交通への転換量の研究があれば知りたい
  • 越先生の研究で、渋滞解消のためには自動車利用者の10%程度の転換で十分であることが示されている。松江市では、中心部の企業でノーマイカーデーを呼びかけ、渋滞を解消した事例がある。こうした実験的取組を行い、その効果を共有することが重要である。

エコ通勤(職場MM)に関する悩み

エコ通勤を実施する上で、企画側ができる有効な仕掛けがあれば教えてほしい
  • 動機付け冊子の活用などが考えられる。
  • 本講習会で紹介したエコ通勤の動機付け冊子等が有効である。動機付け冊子については谷口綾子先生が様々な取組を行っており、参考になる点があると考えられる。
エコ通勤を実施する上で、関係部署との調整方法について知りたい
  • たとえば豊橋市のように小さく始めて大きく育てる好事例がJCOMMのHPに掲載されている。まずは市役所から、通勤手当の制度見直し等に取組まれることが有効であると思われる。

MM実施(体制や状況等)に関する悩み

担当者の異動の際のMMのノウハウの継承方法について知りたい
  • 福祉や教育など、都市計画・交通担当者以外も含めた体制を構築することが望ましい。MMは「必要な人に必要とされる情報を提供する」ことがポイントなので、これが継承されるようにする。後任者にもMM技術講習会に参加していただけると良い。
対象者への効果的なアプローチ方法と取組継続のポイントを教えてほしい
  • 転入者MMは取り掛かりやすいので、MMを始める際の対象者として好適である。MM継続のためのポイントは、利用者数を継続的に計測していくことである。クルマを使う誘因が高まっている昨今では、単発の取組では成功するのは難しいと思われる。
転入者MMで使用するグッズ作成のポイント、効果的な周知方法等を知りたい
  • 弊所研究員の北村がご紹介した「MMの実施に関わる基礎技術②:MM関連グッズの意義と活用のポイント」の資料を参照されたい。

健康に関連したMM実施に関する悩み

対象者の興味を惹く具体的な健康情報があれば教えてほしい
  • 健康MMの情報提供については、JCOMMのホームページを参照されたい。谷口綾子先生による動機付け情報の研究も参考になる。
国民健康保険情報(KDB)を用いた先行事例や団体の情報があれば教えてほしい
  • KDBを用いた健康MMについては現在のところ把握できていないが、大和市や龍ケ崎市の健康MMは情報が充実しているので参考になる。

その他の悩み

運転手不足でバスの乗車体験の実施が難しくなってきている
  • 運転手不足は各地で深刻な問題となっているが、行政とバス事業者が緊張感を持った良好な信頼関係を構築していくことで、解決策が生まれ、協力が継続的に得られる可能性は高まる。
高齢化率が深刻な地域でのMM実施の例で、効果的な事例があれば教えてほしい
  • 民生委員の方々などと連携をとり、住民と直接コミュニケーションをとることが効果的である。愛媛県内では、「地域おこし協力隊」の方々によるバス等の利用促進が始められており、今後効果が出てくるのではないかと思われる。

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