IBS計量計画研究所

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「MMに係るワークショップ」全体討議概要(第12回/2019年)

全体討議概要

「MMに係るワークショップ」の後半では、受講者の皆様がMMを実施する際の「課題」や「悩み」・「お困りの点」を挙げていただき、それらについて講師を含めた参加者全員で議論することにより、今後MMを進めていくための知見を共有しました。

学校教育MMを実施するときの悩み

学校MMを実施する際、次年度以降も継続していけるようにするには教育委員会等にどのようにアプローチすれば良いか。
  • 1年目は様々な準備をする期間である。市役所しか出来ない事がたくさんあり、例えば見学場所の紹介、バリアフリーの教育などがある。施設の見学でいえば、駅の中を見学できるようにする等、特別感を出すことによって、来年度も継続できる可能性が高くなる。
学校教育MMに取り組む際の留意点はあるか。学校の先生や教育委員会をどう巻き込めば良いか。
※今年度より小学校を対象に学校MMに取り組むことを検討。
  • 学校教育の現場では、自由に使えるお金がないということを認識して欲しい。公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団はノウハウの提供や資金面での支援を行っているため、一緒に取り組むよう話を持ち掛けることが一つの方法である。また、夏期の教員研修の実施時に訪問し、お話しする機会を設けることや、地元の大学の教育養成課程の先生と組むことでMMの取り組みに対する信頼感が増す。
学校の授業として、公共交通を学習する機会や、実際に利用する時間を設けて欲しいが、どのように働きかけたら良いか。
幅広く小学校へアプローチしたいと考えており、総合学習以外の学習項目で実施している事例があれば知りたい。
  • 既に学校で決められているカリキュラムがあるため、指導要領を見ながら上手く公共交通を学習の時間に設けてもらうことや、藤沢市が取り組んでいるようなMM教育を地道に行っていく方法がある。

地方(公共交通が不便な地域)での悩み

人口が少なく、クルマ中心の生活である地方都市で、どのようにMMを展開していけば良いか。
  • 2017年に愛媛県八幡浜市日土町でスクールバスと地元の方のバスを一緒にした好事例があるので参考にしてはどうか。また、愛媛県南予地域で、地元の方と協力していける施策として、同様の取り組みをしたいと考えている。
地域住民に、自分のこととしてMMを真剣に考えてもらう方法を知りたい(主体的に関わり、支える仕組み作り)。
  • MMの施策の中に、できるだけ地元のワークショップを入れることや、網形成作成等の際に実施されるアンケート調査の結果を、集計だけで終わらせず、回答者の地域に訪問して報告することなどが挙げられる。
MMの取り組み実施を進める上で、バス事業者に当事者意識をもってもらう方法はないか。
  • 交通事業者と話をすることで、地域の問題をなんとかしようという考えが必ず生まれてくる。取り組み実施の計画を作るだけでなく、地元の方々と話をする機会を作り、コミュニケーションを取ることが重要である。

エコ通勤(職場MM)に関する悩み

県や市の職員を対象とした職場MMを実施予定であるが、効果的な職員への働きかけ方やツールがあれば知りたい。
  • 効果的な職員への働きかけについては、JCOMMのホームページに挙げられているマニュアルを確認して欲しい。また、ツールについては、まずはバスマップや時刻表といったスタンダードなものを作成して周知を図ることが重要である。
公共交通への転換を促すと、通勤手当が必要になり、通勤手当の補助を求められることがある。通勤手当を払ってでも、事業所的にメリットが得られるのかを知りたい。
  • 事業所的には事故軽減というメリットが大きいと考える。社会全体でも以上のような動きになっていることから、乗り遅れないようにする。

MM実施(体制や状況等)に関する悩み

MMに関心の薄い方へのアプローチ方法はあるか。また、1つの部局だけでなく、他部局と協働して行ったMMの成功事例があれば教えてほしい。
  • MMそのものに関心は薄いと思われるが、健康、買い物等、個人には各々個別のテーマに関心があると考えている。まずは個別のテーマを対象として、関心のある方を様々な方向からアプローチすると良いのではないか。
  • 健康に関する関心が国民の中で増加し、健康MMが今後増加すると思われるため、福祉などの他部局と協働すれば良いのではないか。
取り組み実施当初は行政主体でも、継続することで住民主体のMMとなるようにするにはどのような働きかけ方が必要か。
  • MM実施前後での経営に関する数字(赤字・黒字)だけではなく、取り組み実施後のバスの乗降客数が○○人増えました等の具体的な数字を出し、MMを行うことによる定量的な効果を打ち出す、関心を引く数字を示すことなどが考えられる。

その他(MM全般)に関する悩み

高齢者の免許返納につながるMM実施の取り組みや、健康増進の効果的な説明方法を知りたい。
  • 高齢者の免許返納につながるMM実施の取り組みについては、免許返納した方だけに公共交通の利用料金が割引される等、免許返納した際の対価を具体的に提示することが重要である。また、健康増進の効果的な説明方法については、公共交通を利用することで消費カロリーが増えるような定量的な結果が得られているため、谷口先生の資料を参照されたい。
観光客を対象に取り組む場合の働きかけ方や説明・宣伝方法について知りたい。
※観光MMを実施しているが、強制力を持つ交通規制ではなく、訪れる方々の「意識変化」により行動変容を促していく内容である。
  • 観光客を対象に取り組む場合の働きかけ方や説明・広報宣伝方法の事例として、京都ではメディアを使った戦略があるので、そちらを参考にされてはどうか。
  • 観光客だけを対象に働きかけを行うのではなく、地元の方を対象とした働きかけも重要である。地元の方の意識変化の事例として、愛媛県では通過交通をなくすために、移動の必要性が低い地元の方の交通は迂回させるような対策を行った。
車離れが進んでいる若者にMMを実施したいが、どのようにすれば効果的か教えてほしい。
  • MMは単に公共交通の利用促進ではなく、その地域や社会の価値をどう増していくかが肝になるため、そういうことも若者への話に組み込んでいく。車の良さを知ってもらった上で、自分で判断してもらう。

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